匿名性は、人間の隠れた本性を炙り出す。
ネット社会を見ていれば、それはよくわかることだ。おとなしそうな隣の席のヤツが、攻撃性マックスで罵詈雑言を書き込んだかと思えば、セックスのセの字も知らないような顔した人妻が出会い系で男を漁る。今の世の中、そんな世の中なのである。
仮面バー……この究極的にアナログな匿名性に惹かれて店のドアを開いたのは、残暑激しい8月末の平日だった。
仮面をすれば心が解き放たれる
「いらっしゃいませ~」
薄暗い店内に並んだ仮面美女たちが出迎えてくれた。とりあえずビール!と言う前に、まずはマスクを選んで装着。迷った揚げ句にチョイスしたのは、ヒゲのついたネコ型マスク。マスクをして、ようやく「とりあえずビール!」のコール。
「すごい人見知りなんですけど、マスクをしてるといろんな話ができちゃうから不思議ですね」
はにかむ口元がなんともキュートなえりかチャンは20歳の大学生。ビールの注ぎ方を練習中と言いながら、ぎこちない手つきで注ぐ姿がこれまたおじさん心をくすぐる。思わず「今日は泡、多めでいいよ」なんて声をかけてしまう。
聞けば、女のコたちはみんな学生だったり、OLだったりと、文字通り昼と夜では素顔と仮面の二重生活を送っているのだとか。そんな彼女たちの素性を聞きながら酒を飲むと、素顔はどんな顔? 昼間はどんな顔してるんだろう? と、妙にイマジネーションがくすぐられてくるのである。これこそが、この店の醍醐味だと気づくまでに、そうは時間はかからなかったのであった。
同じアホならつけなきゃ損! 損!
それにしても仮面の効果は絶大だ。昼間はOLだという25歳のなほチャンに好みのタイプを聞くと、「ヒゲの男性が好きなんですよ~」
なんて言うもんだから、「じゃあ、子猫チャン、このおじさんネコのおヒゲ引っ張ってほしいニャー!」
とおねだりするも、フフフと笑顔でサラリと撃沈。年甲斐もなくこんな間抜けなことを言っても、恥ずかしく感じないから不思議である。もちろん、仮面をするもしないも客の自由だが、同じアホなら踊らにゃ損、損の精神を遺憾なく発揮するためには、絶対的に仮面をつけて楽しむべきである。カッコつけて仮面をつけずにスカした男は、ここでは用なしなのだ。
飲みながら店内を見渡すと、シックな雰囲気に仮面をした女のコたちがいるだけで、エロさというか、妖艶さが満ちている。なんとも罪な店ができたものである。ちなみに女のコたちは、みんなお酒は大好きというから、たまらない。20歳のMAYUチャンのオススメは「1000円でテキーラ1杯とキャストと一緒にチェキ」だとか。おじさん、年甲斐もなくこの日はチェキを4枚。都合4杯のテキーラを飲んで暑い夏の夜をさらに暑くして店を後にしたのであった。
【仮面 Bar MASQUERADE TOKYO】
住 東京都新宿区新宿3-23-4 新宿黒澤ビル2F
電 03-5361-7522
営 月~土19時~翌5時
料 初回40分2000円(税・サ別)
「SPA!見た」で、テキーラショット1杯orチェキ1枚をサービス
撮影/赤松洋太
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