◆老舗の女将に聞く先斗町の遊び方
続いて、酔い覚ましに……とフラリと入ったお店がこちらの山とみ。京都の食材を使った料理と、名物のおでんが人気のお店なのだ。
「ウチはね、もとは50年続いたお茶屋さん(芸者を料亭などに派遣するお店)やったの。それをやめてお好み焼き屋さんにしたんです」
女将さんは店を始めて今年で38年目を迎え、先斗町の今も昔も知り尽くした生き字引のような方なのである。そんな女将さんに先斗町の遊び方を聞いてみた。
「昔はね、暖簾も出さない、一見さんはお断り、お勘定も不明瞭……なんてお店もあって『先斗町はよそ者に冷たい』というイメージが付いてしもうたんです。でも、もう、そういうのはやめましょうってことで組合をつくって、遊びにきやすい街づくりに取り組んでるんです」
こうした組合の尽力により「俺は先斗町で一杯飲んで8000円もボラれたぞ!」なんていう本誌・苫米地のようなことはなくなり、健全でなおかつ情緒ある雰囲気を楽しめる街になったという。だが、一方で新たに出店したチェーン店などが増え、強引な客引きが問題にもなっているのだとか。先斗町でよく飲むという常連さんに話を聞いた。
「先斗町は坂本竜馬をはじめとする幕末の志士たちが集まった由緒ある盛り場や。客引きやってる店がいいか悪いかわからんが、古くからのお店はそういうことはやらんわな。粋じゃない!」
伝統のある“遊び人が集う街”ゆえに、粋じゃないことが許せないのである。京都の夜を粋に楽しみたいなら、先斗町で一献傾けてみてはいかがだろうか。
【山とみ】
京都市中京区先斗町通四条上ル鍋屋町226
電:075-221-3268
営:平日16:00~22:30(3月20日まで) 土日祝12:00~22:30
休:火(祝日の場合は営業) 女将さんの娘さん(写真右)は元女優なのだ
撮影/加藤 慶 取材協力/福原一緒