第十一夜 【前編】

ついに4000円で遊べるクラブも。
不況下の銀座をぶらり旅


【担当記者:苫米地】

 リーマンショック、株価の大暴落と日本経済には暗いニュースが相次いだ今年、世間の景気動向にもっとも影響される繁華街、”夜のリトマス試験紙”銀座の景気を調査に……と言っても夜はおろか、昼の銀座すらまったく縁のない俺。単独行動はいささか不安なので、今回は旧知の仲で「夜遊びの達人」O氏に同行をお願いした。

「いやぁ、本当に人がいないな~」

 週末の夜9時過ぎ。数寄屋橋交差点で落ち合うと、開口一番O氏はつぶやいた。確かにクラブが軒を連ねる、金春通り、花椿通りを歩いても人はまばら。空車のタクシーがズラリと並んでいる。これなら、俺の「クラブ活動のホーム」中野のほうが活気ある印象だ。

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高級な品揃えの花屋。需要も少ないのか立ち寄る人は少ない。
付近の通りでは名物の新装開店や誕生祝いの花も見られなかった



■閑古鳥の鳴く目抜き通りのクラブ

「どうですか~、お二人様」

 背後から忍び寄る客引き。エンポリオ・アルマーニのマフラーを見せつけながらこっそりと、「このお時間なら、5000円で……」。

 思わず顔を見合わせるジーンズ2人組。聞けば、座るだけで60分1万2000円の店。O氏がそっと俺に耳打ちする。「ここ××系列で、女のコも可愛いって評判だった店なのに。大丈夫なのかな」

 その後も次々と客引きに声を掛けられる。異口同音に「5000円に割引きます……」と袖を引く。

 電通通りに出る。ここは「7000円に」のオンパレード、相場は高めだ。その中で、「五千円でお願いします」と深々とお辞儀をする客引きが。

「4000円にならないの?」

 さすが強気の、達人O氏。すぐさま店に電話で確認する客引き。

「かしこまりました、一時間4000円でやらさせていただきます」。

 案内されると狭めながらも豪華。大きな花が飾られ、ジャズが流れる。色とりどりのドレスを纏った女のコが丁寧に頭を下げる。本当に4000円でいいのか。一抹の不安を覚えながらソファに。横では石井光三社長似の紳士が女のコ3人とフルーツを食べている。

「こんばんは~。本日は、ご来店ありがとうございますぅ」

 やってきたのはYちゃん。森泉似の美女だ。丸みを帯びた名刺を渡されデレデレする俺。ブランデーのボトルがセットされ、Yちゃんが水割りを作ろうとしたそのとき、「あっ、これ空いてんじゃん!」。キャップを指差し、ボーイを呼びつけるO氏。さすが達人、散々値切っておいて容赦ない。新品に代えさせた所で乾杯。不穏な空気に気圧される俺、Yちゃんとの会話もぎくしゃく。向かいのO氏は女のコの髪なんぞ触りながらアドレス交換……。ボーイに呼ばれYちゃんがご退席。ホッとしていると、今度は八重歯の可愛いMちゃんが登場。安めぐみ似のルックスに癒される。それとなく店の景気を聞くと、お客の入りがめっきりと嘆く。それでも午前2時頃になるとこの通りの名の某代理店関係者がどっと押し寄せることもあるそう。政治、経済、文学と話題の幅が広いMちゃんを場内指名し、盛り上がっていると時間に。

 恐る恐る伝票をのぞき込むと「ポッキリのお値段」でひと安心。



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10階建てのテナントすべてがクラブ。
「E」の前には大勢の客引きがおり、「女のコを直に見て、決めてください!」という新手も





<協力>大脇克浩(オールアバウト「大人の夜遊び」ガイド)

苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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