第九十夜【後編】



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「9年前、全女がなくなって、新しくファンとの交流の機会と後輩たちが集う場所をつくろうとしたのがオープンのキッカケですね」

 京子ママと一緒に働く現役の女子レスラーたちもお店でお酒を作ってくれるという。

「まあ、とにかく飲んで飲んで。アタシも今日はずいぶん飲(や)っちゃってるから、アハハハハーッ」

 多いときは「ワイン7本、日本酒2升、ビール2ケースを空ける」と豪快に笑う京子ママ。有名な全女の”3禁”(酒、タバコ、男はご法度)もどこ吹く風だ。

「飲めないレスラーは強くなれないってのがポリシーだからね。後輩にも、口を酸っぱくして、潰れるまで飲めって言ってんのよ」

 アスリート然としたレスラーが増える昨今、豪放磊落な昭和の新日イズムがここに!といった感じだが、「この前も酔った勢いでケンタッキーに入って、『この店のチキン、全部持ってこい』とか言ったらしくてさ。20ケースくらいかな。全然覚えてないのよ(笑)」なんて笑えない失敗談も。

 酒量が増すごとに豪快な逸話がポンポン飛び出し(過激すぎて誌面では書けません)、それにつられて客同士のバトルトーク(プロレス与太話)も熱を帯びてくる。「邪道か王道か?」「前田日明のビッグマウスは何をしたかった?」「新日は誰が潰した?」。

 カウンター内の京子ママを挟んで、プロレス会場で見られるような”掛け合い”合戦。このお店において新規客は入門生と同義だが、常連客(先輩レスラー)の温かい”シゴキ”を受けつつ、お客さん同士の垣根が低い、スナックコミュニティも存分に味わえる。

 京子ママの快活なトークに闘魂を注入されて、ついでにアルコールもしこたま注入。ふらつく足取りで店を出ると、いまだ熱気冷めやらぬ店内から、ビューティ・ペア「かけめぐる青春」の大合唱が聞こえてきた。


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京子ママのスリーパーホールドに
得意の高速タップのスギナミ。



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「来年、新団体を設立します。お店はもちろん、会場もアツい
ので、ぜひ足を運んでくださいね」(京子ママ)



【あかゆ】

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住:東京都品川区小山3-17-5
電:03-3785-8521 
営:21時~翌5時
休:火
料:セット3000円(お通し、初回氷&割物代込み)
各種ボトルは3000円~ 週1回、リクエストに応じた試合映像が流れる「プロレス・デー」を開催。
曜日は未定なので、事前に要確認


協力/小野田 衛 撮影/丸山剛史

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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