「ヘイト本」はどうして生まれたのか? 嫌韓中本の異例のヒットから考える
今、書店をのぞけば、「世界情勢」や「東アジア」といったコーナーや、ベストセラーのコーナーを埋め尽くす本がある。異様に長いタイトル、帯文が特徴の「ヘイト本」だ。一時は沈静化したが、再び隆盛の兆しを見せている。
書店の棚に異変が起きている。韓国や中国への露骨な嫌悪感をベースとした書籍群が、売れ筋コーナーに大量に並んでいるのだ。
取材班が都内各地の大型書店で売り場担当者に聞いてみたところ、一番人気はケント・ギルバート氏。今年2月発売の『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)は40万部を突破した模様だ。これに次ぐのが、右派論壇の重鎮・百田尚樹氏の著作群。朝日新聞の全5段広告で土下座を披露して話題になった『今こそ、韓国に謝ろう』(飛鳥新社)は、一部店舗ではケント氏を上回る数字を叩き出す。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1394922
書店員たちは、「購買層は40代以上の中高年男性。ジャンル全体として売れ行きはいいが、書かれている内容は、どの本もほぼ同じで、反日的な韓国に対するテンプレート化した反論が中心。書店員の良心としては早く出版社に返品したい」と本音を漏らす。
一方、出版業界内においてもこうした民族差別や排外主義を煽る本を「ヘイト本」と呼び、問題視する声もある。’14年に出版業界による自浄を訴える団体を立ち上げた編集者の岩下結氏は嘆く。
「顕著にヘイト本が書店に並ぶようになったのは’12年。’13年から’14年にかけての時期には、書店の棚がヘイト本で占拠されていました。その後、’15年になるとヘイト行為に世間の風当たりが強まり、’16年6月にはヘイトスピーチ解消法が施行されました。これで一時ヘイト本の出版には様子見の動きが広まりましたが、今年に入ってからまた急に増えています」
岩下氏が危機感を持って反ヘイト活動に参戦した’13~’14年を第1次ヘイト本ブームとするならば、現在は第2次ブームと呼ぶことができそうだ。しかも今回のブームではついにヘイトの対象が自国民にまで広がっており、事態は悪化の様相を見せている。
「『沖縄を本当に愛してくれるのなら県民にエサを与えないでください』(ビジネス社)は許せません。同じ日本人である県民に対して『エサをやるな』という言い方は凄まじい。韓国や中国へのヘイト本を作っているうちに、言葉の感覚が麻痺したんでしょう」(岩下氏)
異例のヒットを飛ばす嫌韓中本の現状
1
2
【関連キーワードから記事を探す】
共産党は暴力革命を否定。本気で実力闘争を目指す中核派は? 若手活動家に聞いた
タイの反政府デモに現地の日本人はなにを思う? 「渋谷ハロウィンと同じレベル」
Zoomで「安倍やめろ」デモをやってみた
香港の民主主義が死んだ日。警察の実弾発砲を正当化する工作も…
元キャバ嬢が見た香港の夜。キャバクラは意外にも、日本人客で賑わっていた?
ヘイト本のヒットは日本の恥ずべき事態。知識人やメディアは煽ってはいけない【ジャーナリスト青木理】
ヘイト本ブームがもたらす経済面への影響――今後の日本経済全体に大きなマイナスが…
「ヘイト本」はどうして生まれたのか? 嫌韓中本の異例のヒットから考える
なぜ「自国愛を強調しすぎている人たち」に違和感を持ってしまうのか?
「筒井康隆の慰安婦像ツイート」大炎上に、在日韓国人たちの思いは…
ヘイト本のヒットは日本の恥ずべき事態。知識人やメディアは煽ってはいけない【ジャーナリスト青木理】
ヘイト本ブームがもたらす経済面への影響――今後の日本経済全体に大きなマイナスが…
「ヘイト本」はどうして生まれたのか? 嫌韓中本の異例のヒットから考える
ヘイト本のヒットは日本の恥ずべき事態。知識人やメディアは煽ってはいけない【ジャーナリスト青木理】
ヘイト本ブームがもたらす経済面への影響――今後の日本経済全体に大きなマイナスが…
「ヘイト本」はどうして生まれたのか? 嫌韓中本の異例のヒットから考える
文科省は靖国神社を差別していた。行政のチェックは政治家の役割【評論家・江崎道朗】
“国民一人、1日100円節約”ツイートが大炎上――節約家・ひろゆきが思う「節約が良い意味で使われない不思議」