“保守系女子”のジレンマ「中韓、民主党もどうかと思うが女性を蔑視するネトウヨも大嫌い」
―[“保守系女性活動家”が語る]―
ネット上、または街頭デモなどで保守活動をする女性が増えている。
中国、韓国、民主党などに反対し日本の国体を守ろう!というのが大まかな主張である点は保守系男性らと当然変わりはない。
しかし主義主張に性差はないとはいえ、活動の上で女性であることのジレンマを感じることが多いという。
ネット上で保守系の書き込みをすることにハマった相原恵美さん(仮名・会社員・26歳)は話す。
相原さんは地方の有名私立大学卒業。
「いま振り返ると、女性はいつでも女子らしく振舞うことを求められる。男性社会からの理不尽な押し付けがましい常識や良識に対して従順でなければいけない。それに対する破壊願望、不良衝動みたいなものを(女性として生活するなかで)消化することは難しい。ネット社会はそのような願望を(バーチャルに、ではあるが)かなえてくれる場所としてハマったような気がします。そこでは女性らしい振る舞いを求められることはないから」
書き込む時は自分が女性であることを意識せずに、男言葉で思い切り書き込むとスッキリするという。
だがそんな自らの行動を客観視してもいる。
「ネット活動をしている人の多くは、自分たちの意見や活動が社会にとって有益であるとか、影響力があるとか、そんなことを本気で思っているわけではないと思う。義憤に名を借りて自分のルサンチマンを垂れ流すだけ。中国や韓国(という国家)や民主党といった、実生活では大きすぎて手の届かない主体に対して罵詈雑言を浴びせかける、それが楽しいだけ。あくまでも自分の快楽のためのツールに過ぎないんですよ」
一方、「嫌韓流」ブームの時に右翼的言論に興味を持ったという安永よしえさんはネットへの投稿活動を”真面目に”行っている(仮名・フリーター・24歳)。
しかし、「主義主張に相通じるところはあるが、いわゆる一般的な『ネトウヨ』は大嫌い」だと話す。
「彼らは根本的に女性を蔑視しているから。国を愛する気持ち、国を守ろうとする気概に男女の区別はありえないと思いますが、彼らはそうは考えていない。女は生理休暇でも取ってろ、なんていわれることは日常茶飯事です。『(ネトウヨ活動を)俺たちは男だから本気でやっている、女たちはチャラチャラして遊びでやっている』という思い込みでもあるのでは。ネットに投稿するとき、基本的には性別を明らかにしません。いやなことを言われることが多すぎる。女性というだけで、まともに議論に参加させてもらえることが少ない。とはいえ実生活で韓国人や中国人を罵るとさまざまなトラブルを招くので、それも難しい。活動の場がどんどん縮小されていく気がします」
そして、韓流ファンから「嫌韓」に方向転換した佐伯幸恵さん(仮名・会社員・29歳)はネトウヨであるという自覚はあるが、日常生活でのネトウヨバレに怯える毎日だ。
「韓国ドラマにハマっていましたが、『アイリス』、『僕とスターの99日』に出ていた女優のキム・テヒが反日活動をしているというニュースがきっかけで韓国が嫌いになりました。韓国ドラマ、映画、K-POPすべてが嫌いですし、そういうものを追いかけている日本人に対しても印象は良くないです。ですが、友人たちの間でK-POPが流行していたとき、『韓国と日本とはこの先ずっと相容れない、彼らもどうせ日本のことは嫌いのはずだ、そんな韓国芸能人に肩入れするのはやめたほうがいい』などと話したことがあるのですが、そのときはこちらが疎外されてしまうような雰囲気になってしまいました。こういう一般人の意識は変革していかなければならない、と思う反面、身近な人から疎外されるのはやはり困るので、適当に話を合わせることにしています。できるだけネトウヨだと思われたくないので」
ネトウヨとしての主張は通したいが、友人や身近な人の輪からは外れたくない……とりわけ横並び意識が強いと言われる女性ならではの悩みか。
さらには和をもって尊しとする「日本人の精神」が、皮肉にもネトウヨ活動の妨げとなっていると言えるのだろうか……
ともあれ、”保守系女子”に立ちはだかるハードルは多いようである。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
― “保守系女性活動家”が語る【1】 ―
―[“保守系女性活動家”が語る]―
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