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がん早期発見・治療技術の進歩。日本で世界に先駆けて承認された治療法も

―[120歳まで生きる]―
「人生100年時代」が叫ばれるようになったのも束の間、研究者の間では、「人間が120歳まで生きる」というのはわりと現実的だと考えられているという。世界中で活発化する「老化研究」の最前線を探る——。  日本人の死因第1位であるがん。厚生労働省によれば、年間30万人以上が亡くなっているという。早期発見・早期治療がカギとなる。

進む早期発見技術に治療法が追いつけばがんは怖くない!

120歳まで生きる

「北青山Dクリニック」院長の阿保義久氏

 今、「リキッドバイオプシー」というがんの早期発見に繋がる検査方法が注目されている。「北青山Dクリニック」の阿保義久院長が話す。 「がん細胞が体内に発生した際に血液中に流れ出す微量物質を検出する検査です。これにより多くのがんの発生リスクが調べられます。採血だけで済み、X線・内視鏡など従来の検査のような負担がありません。診断が難しい膵臓がんの早期発見も期待されています。ただ、保険が適用されないので検査費用が高額になってしまう点や、検査結果でがんのリスクが高くても画像検査で特定できない際の対処法には課題が残ります」
120歳まで生きる

リキッドバイオプシーで検査後に受け取る結果のサンプル。血液中の成分を調べ、がん患者をスクリーニングしたデータと照合して、さまざまながんのリスク具合を数値化する

120歳まで生きる もっと手軽にがん検査ができるように研究を進めているという。 「リキッドバイオプシーの研究が進めば、健康診断とセットでがん検査ができるようになったり、体温を測るくらいの手軽さで検査ができるようになると思います。そうなれば、生活習慣改善の必要度がわかり、超早期での治療も可能となる。がんを生活習慣病のように管理していくことができるようになるかもしれません」  現在は保険適用外の検査だが、今後さらに手軽に受けられる存在になってほしいものだ。

日本で始まった画期的な治療法「光免疫療法」

 また、世界に先駆けて’20年から日本で始まった画期的ながんの治療法がある。それが「光免疫療法」だ。どのようなものなのか。
120歳まで生きる

医学博士の小林久隆氏

「光免疫療法とは、がん細胞のみに反応する薬を静脈注射で投与し、薬ががんに十分集まったところで近赤外線を照射してがん細胞を破壊する治療法です。条件つきですが’20年9月に世界に先駆けて日本で承認され、保険診療として治療を受けられます。副作用もほぼなく、病院の導入コストや治療費も従来の治療と比べると相当安く、患者に優しい治療法です」  そう話すのは、光免疫療法を生み出したアメリカ国立がん研究所の主任研究員、小林久隆氏だ。目立ったリスクもなく、非常に優れた治療法に思えるが、解決すべき課題もあるという。
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がんの3大治療法と並ぶ治療法になり得る
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