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捜査対象でありながら事情聴取なく時効に…旧統一教会と“昭和の未解決事件”を結ぶ接点

 旧統一教会に対しては今夏にも解散命令が出される公算が高い。安倍晋三元首相の銃撃事件の裁判も迫るなか、ここにきて教団と「昭和の未解決事件」の関係が国会で取り上げられた。  果たして、教会と36年前に日本を震撼させた事件を結ぶ接点とは何なのか……? 『統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』を上梓したジャーナリスト・有田芳生氏、元朝日新聞阪神支局襲撃事件特別取材班キャップで『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)の著書もあるジャーナリスト・樋田毅氏らが当時を振り返る。
赤報隊事件

ジャーナリスト・有田芳生氏

安倍元総理銃撃で昭和の未解決事件が再び動き出す

赤報隊事件「朝日新聞阪神支局襲撃の捜査に当たって、統一教会、国際勝共連合について捜査や調査を行ったことはお認めになりますか?」  2月2日、衆院予算委員会では、36年前に起きた「昭和の未解決事件」を巡って、こんな異例の質問が飛んだ。質問の主は共産党の宮本岳志衆院議員。  1987年、日本列島を震撼させた朝日新聞阪神支局襲撃事件をはじめとする一連の赤報隊事件について、統一教会の関与がなかったか、警察行政のトップを務める谷公一国家公安委員長に詰め寄ったのだ。 「すでに公訴時効が成立している一連の事件のことであり、お答えを差し控えさせていただく」  谷国家公安委員長は早口でこう受け流したが、宮本議員は「国民に向けて真摯な態度で答えていない」と憤る。 「そもそも岸田文雄首相は昨年の臨時国会以来、『今後、地方議会も含めて旧統一協会とは一切関係を持たない』とする自民党本部の方針を徹底させると言ってきた。ならば今春に控える統一地方選を前に、国民の最大の関心事である統一教会の問題をすべて包み隠さず説明すべきだ。  実際、朝日の襲撃事件の2年前、教団に対して苛烈な批判キャンペーンをやっていた『朝日ジャーナル』(朝日新聞社・1992年に休刊)の編集長だったジャーナリストの故・筑紫哲也さんには、教団関係者からと思われる脅迫状も送りつけられていたわけですから」

36年前に社会を震撼させた「赤報隊事件」とは?

赤報隊事件 1987年5月3日の憲法記念日、兵庫県西宮市にある朝日新聞阪神支局に散弾銃を持った目出し帽の男が侵入し、当時29歳だった小尻知博記者を射殺。一緒にいた当時42歳の記者も撃たれ重傷を負った。  その後も、朝日新聞東京本社の社屋や名古屋市内にある社員寮にも銃弾が撃ち込まれる事件が発覚。静岡支局の駐車場には爆発物が仕掛けられた。  1988年3月には、中曽根康弘元首相と竹下登首相(当時)にそれぞれ脅迫状が届けられ、同年8月にはリクルートの江副浩正会長宅への銃撃事件も発生。1990年5月には、名古屋市内の愛知韓国人会館が放火される。 赤報隊事件 阪神支局襲撃事件では、通信社宛てに「日本民族独立義勇軍 別働 赤報隊 一同」と名乗る者から「すべての朝日社員に死刑を言いわたす」などと書かれた犯行声明文が送られ、名古屋寮の事件でも脅迫状に「反日朝日は五十年前にかえれ」といった文言が並んでいた。  このため、事件発生当初から右翼、なかでももっとも勢いのあった新右翼に関係する人物が捜査線上に上がっていたが、結局、犯人逮捕には至らず、すべての事件は’03年に公訴時効を迎えている。
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朝日新聞と統一教会は激しく対立していた
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統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体

ジャーナリストが語る「空白の30年」の全真相!

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