ライフ

大好きな猫に見守られながら旅立つ。猫が看取る、幸せな老人ホームがある/石黒謙吾

―[猫と暮らす]―
11月28日は「いいにゃ(11・28)」で「猫と人の日」。いかに猫様が僕らを幸せにしてきたかを再認識するための日だ。猫と出会い、人生が一変してしまった人や成功した経営者たちの話から驚異の“猫力”を解き明かす。

犬猫好きにとってユートピアのような老人ホーム

猫と暮らす

’21年に18歳で亡くなったチョロに、今年亡くなったタイガとかっちゃんの位牌の前で思い出を反芻するようにご飯を食べるミー

「人が人をいたわり、人が動物をいたわり、動物が人をいたわり、動物が動物をいたわる」。犬猫好きにとってユートピアのような老人ホームでは、人が犬や猫を看取るのとは逆のシーンがあったりもする。 犬や猫と一緒に暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」を知ったのは昨年秋。すぐにアポをとって施設長の若山三千彦さんに快諾していただくと、横須賀に通って撮影&取材を進め、1年後の9月に『犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム』という本にまとめた。 メディアで話題になったのは、人の死期を察知して看取り行動をとる「文福」という保護団体からきた雑種犬だが、この施設では、犬と同数いる猫たちも開所から11年間にわたり、人との繫がりから胸を打つドラマを紡いできた。数多あるエピソードの中から1匹の猫の話を紹介しよう。