〝華麗〟な老後生活を送る、60代元暴力団員。「ヤクザが力を失ったからこそチャンスがあった」

 裏カジノオーナー、生活保護受給者etc…。ヤクザをやめた中高年の現在地とは? ’22年末時点での全暴力団勢力約2万2400人中、50代以上が54.9%。福岡県でも指定暴力団の組 長や組幹部が、’22年までの5年間で47%離脱。高齢化が進む中、元ヤクザ中高年の境遇を追う。

裏社会に返り咲いた、60代元ヤクザの〝華麗〟な老後

元ヤクザ

伊藤氏は関西の某組長から「ある実業家の家に銃弾ぶち込んだら1000万円払う」と言われ実行。逮捕された ※写真はイメージです

 元山口組系の幹部で、15年前まで都内で右翼団体を主宰していた伊藤哲雄さん(仮名・67歳)。六本木で愛人にクラブを持たせ、メインのシノギは企業恐喝と政治関連書籍を自治体や企業に売りつけること。港区に事務所を構え、夜ごと街で豪遊していた。  そんな伊藤氏の足元がぐらついたのはまずは政治関連書籍の摘発。大手新聞のトップで脱税事件として報じられ、大金を失った頃から徐々にカネに詰まっていく。  暴排の流れが強まるにつれ、資金が枯渇。若い衆も離れていき、最後はカネに詰まって銃撃事件を起こして逮捕、収監されてしまう。3年前に出所したが、その間に組織からも離脱した。  だが、高級そうなスーツに身を包み、港区の雑居ビルに現れた伊藤氏は全盛期と同じように意気揚々と“自慢”を始めた。