「究極の頭脳バトル」ともいわれるポーカー。そんな勝負の世界で活躍するのが、東大卒のプロポーカープレイヤー・木原直哉氏だ。 2012年には、第42回世界ポーカー選手権（WSOP）で、日本人として初優勝。優勝賞金の約51万ドル（当時のレートで約4000万円）を獲得した。さらに2022年の第53回WSOPでは３つのイベントでファイナルテーブルに進出（３位、５位、３位）するなど、まさに日本ポーカー界のレジェンドである。 そんな彼の目線は今、ポーカーだけでなく「投資」にも熱く注がれている。本格的に投資を始めたのは約3年前。資産は非公表だが、「’23年はポーカーで得た年間最高利益を上回った」という上達ぶり。YouTube番組で対談したカリスマ投資家のエミン・ユルマズ氏もその投資の腕を絶賛していた。 ポーカーと投資に共通する「勝ち筋の見つけ方」とはどのようなものか。彗星のように現れた、“投資界の大型新人”の投資術に迫った。（全3回の2回目） 僕が“本命級”まで買い進める銘柄は、10時間以上の時間をかけて中身を調べたり情報を収集したりします。20時間以上調べた銘柄もたくさんあります。 情報収集をする労力は惜しみません。もちろん散々調べたあとに「やっぱり投資は見送るか」と断念することもあります。株価が割安だと判断しても、近い将来に上がる理由が見いだせなかったりするときです。 「買うべき理由」が複数ないと、本命級に買い進めることはありません。指標的な割安さはスクリーニングで簡単に見えるので買う理由の一つになることが多いですが、ほかにも「業績が伸びている」「競合がいない」「買い集めている人がいる」といった一般的な理由や、「次の決算が良い／高い評価を受けるだろう」という個別の予測なども買う理由になります。逆に言えば、そういった買うべき理由が複数から一つになったら、それは手放すタイミングです。 けれど「本業で忙しいのに、投資にそこまで時間をかけられない！」という人も多いですよね。そんな人は、自分がよく利用する会社の優待株を買うことも選択肢のひとつです。 自分がよく利用するお店やサービスなら、投資家が気づくよりも先に「あれ、ここは最近、サービスが落ちたな」など業績の変化にも気づきやすいからです。ちなみに僕は、ココイチが好きすぎて、はじめて買ったのは「ココイチ」を運営する壱番屋（東P 7630）でした。 プロポーカープレイヤー。東京大学理学部卒後、ポーカープロに。12年の第42回世界ポーカー選手権大会（WSOP）で、日本人として初優勝をはたす。Xは@key_poker