「“忍者”になるだけで時給5万円も夢じゃない」外国人相手に“誰でも稼げる”コツをプロがこっそり教えます
脱コロナと円安の影響で、外国人観光客がふたたび増加している。このインバウンド需要を使い大きく稼げる「副業」はないか? ただ、イチから商品を用意するのは難しい……。そこで、日本ならではの「体験的価値にお金を払う」ことを意味する“コト消費”で、時給5万円を達成したのが、歌舞伎町のど真ん中にあるキックボクシングジム新宿スポーツジム代表のRIKIYA氏だ。
そう、写真でわかるように、今回のコト消費は忍者体験である。RIKIYA氏が忍者姿で登場し、両手で九字の“印”を切れば、外国人観光客からは一斉に、「NARUTO!」と歓声があがり、刀を振れば「キメツ!(鬼滅の刃)」と、世界的に人気がある日本の漫画のタイトルを叫んで盛り上がっていた。
「実際に手裏剣を投げたり、竹刀や刀のレプリカでチャンバラをします。客層は、ファミリー層や、友人同士やご夫婦など幅広い多いですね。リクエストがあれば、参加者がアニメのコスプレをしたまま軽くスパーリングをしたり、別料金で書道や華道の体験もできます。中には日本の忍者や歴史について、ものすごく勉強をされている方もいますが、多くは『日本の伝統文化をちょっと体験してみたい』『アニメの世界を見てみたい』という、ライトなユーザーが大半を占めています。だからこそ、僕のような“モノマネ忍者”でもできるんです」
実はRIKIYA氏は忍者の末裔でも、正式な“プロ”ではない自称“モノマネ忍者”。なぜ、彼は歌舞伎町で忍者になったのか? 今からでも間に合う、忍者体験で稼ぐヒントを聞いた。
「元々はプロのバンドマンを目指して上京しました。バンド活動のかたわら、幼少期から習っていた空手を上京後も続け、K-1で有名な正道会館がまだ落合にあるころにプロの練習が間近で見られることが楽しくて週に2回ほど昼の部に通っていました。ヘビー級のアンディ・フグや魔娑斗さんと一緒に練習したり。ただ、なかなか喰うのは厳しい世界。実家が水商売をやっていたこともあり、歌舞伎町で音楽をガンガンかけてロックバーをひらいたこともあります。現在は自身の格闘技経験を活かして、18時から早朝5時まで深夜のキックボクシングジムを運営することになったんです」
そう、この新宿スポーツジムは、歌舞伎町周辺の住人たちである水商売系の人が通うことでも有名。そして、忍者になったのは、まさかのmixiだ。
「ちょうどそのタイミングで、ソーシャネルネットワーキングサービスの『mixi』経由で、『空手など格闘技の所作や、その経験を忍者体験館でぜひ教えて欲しい』と、とある忍者団体さんからスカウトされたんです。昔歌舞伎町あったサムライミュージアムで、空手の型をはじめ、忍者の所作を独学で勉強して、“忍者デビュー”してみた。本格的に忍術や忍者の歴史を勉強したりもしましたが、自分がまさか忍者になるなんて。過去の経験や趣味が、まさかここで役に立つとは思いませんでした」
その後コロナ渦でサムライミュージアムは閉館してしまったが、身に着けた忍者体験をこのまま腐らせておくのはもったいない。そう考えたRIKIYA氏は、自身が営む深夜限定の格闘技ジムの空き時間を使って、忍者屋敷として開放することを決めた。
ライター兼漫画家。ニッチな世界やアングラな体当たり取材から、認知症の介護問題など幅広いジャンルで取材・執筆を行う。著書に、夫婦そろって認知症の祖父母との7年間に及ぶドタバタ在宅介護を描いた『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)