「偏った食生活を補完する」「肉体づくりにいい」――。そんな思いで手軽に摂取する人が多いサプリメントだが、紅麴サプリの騒動以降、その安全神話は壊れつつある。思わぬ健康被害に苦しんだ人々に話を聞いた。 　3月22日。小林製薬が紅麹成分を含む機能性表示食品のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」について、「サプリ摂取後に腎疾患などの健康被害が起きた事例がある」と自主回収を発表。4月21日時点の厚労省の発表によると、同社から報告のあった健康被害は死者5人、入院（すでに退院した事例も含む）247人に上る。 　さらにこの問題を受け、消費者庁が機能性表示食品、およそ6800製品について総点検を行ったところ、小林製薬の製品を含まない18製品でも、計117件の健康被害の情報が医療従事者から事業者に寄せられていたことが判明。安全だと妄信していたサプリに対し、世間から不安の声が広がっている。 　実際、過去にサプリとの因果関係が疑われる健康被害に遭ったと話すのは、大手総合商社の梶谷達夫さん（仮名・56歳）だ。