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「住民保護」か「島の要塞化」か…自衛隊基地誘致を巡り意見が対立。“台湾有事の最前線”与那国島の今

 台湾有事が叫ばれるなか、台湾の“目と鼻の先”にある与那国島では自衛隊の影響が年々濃くなり続けている。住民たちはこの状況をどう見ているのか。本土の人間が知りえない“最前線”の今を追った。
[台湾有事の最前線]与那国島の今

乗り継ぎ先である石垣島の空港に設置された「尖閣諸島の日」のポスター。石垣島の条例で定められた記念日

「住民保護」か「島の要塞化」か…自衛隊基地誘致を巡り意見が対立

[台湾有事の最前線]与那国島の今

陸上自衛隊与那国駐屯地。島の高台にある。島内は坂道が多く、電動自転車で1時間半ほど爆走したら島を1周できる

 3月中旬、沖縄県の与那国空港に飛行機が着陸したとき、島には台風が上陸したかのような強風が吹き荒れていた。 「与那国は『風の島』とも言われていて、冬場の向かい風は歩くのもままならないほど」と、迎えに来てくれた宿の従業員が教えてくれる。  東京から約2000km、そして、台湾まではわずか111km。面積およそ29万㎢の島は、起伏が激しく5km先の隣町に行くだけでも、いくつもの坂道を越えなくてはいけない。  この島が今、有事の危機に晒されているという。  昨年6月、政府は与那国島を含む先島諸島の島民の避難計画を発表した。与那国島の住民も台湾有事などの際に九州へと避難する想定だ。  まるで戦時中の集団疎開のような話だが、そこには、日本最西端の“国境の島”である与那国島ならではの事情がある。

島民1700人の5人に1人が自衛隊員