恋愛・結婚

不倫は裏切りではなく「合理的な選択」に?ネオ不倫の3つの新潮流を深堀り

不倫の概念が変わりつつある──。かつては秘め事であったはずが、今や渋谷の中心部やSNSで、既婚者専用マッチングアプリの広告を見かける時代になった。目を見張る盛り上がりを見せる不倫市場の“今”に迫る! オープンマリッジから再婚前提まで──既婚者マッチング市場が3年で5倍の背景とは?

不倫は「道徳的な裏切り」から家族の合理的な選択肢に変化

[ネオ不倫]市場を追う!不倫市場は“カネ”になる──。テレビドラマ、映画、漫画、そして写真週刊誌など、あらゆるメディアで人気コンテンツ化する不倫。「この市場は、その時代の既婚者の“価値観に影響”する」と恋愛学者の森川友義氏は語る。 「昭和の頃から不倫を題材にした作品は多くありましたが、『昼メロ』の登場で、“背徳”と“官能”の物語が定番に。男性芸能人が不倫しても『浮気は男の甲斐性』で許された時代は、平成に入り、1996年に石田純一さんの『不倫は文化』発言を契機に、不倫=悪へと転換されます。一方で、翌年に社会現象となった『失楽園』では禁断の恋が美しく悲劇的に描かれ、W不倫ブームを巻き起こしました」 不倫は制裁の対象でありながらも、徐々に異なる側面も持ち始める。大きな変化の訪れは’14年頃。ライターのウラノけいすけ氏は続ける。 「ドロドロ不倫の金字塔『昼顔』が放送された年ですね。一方で、『セカンドパートナー』という言葉が生まれたのはその翌年。『金魚妻』(’16年)や、累計1050万部を突破した『あなたがしてくれなくても』(’17年)のように不倫する女性の背景が丁寧に描かれる漫画作品も増えていきました。鬱屈した生活の“解放”に繋がるような表現が多く見られ、不倫が女性ないしは夫婦の“救い”のような描かれ方もするようになっていきます」 否定と肯定、不倫は2つの意味を持たされていくのだ。

マッチングアプリで既婚者の出会いも気軽に

[ネオ不倫]市場を追う!実際に不倫経験者の割合は増加中だ。浮気も含む調査ではあるが、’17年には男性37.0%、女性24.4%だったものが、’24年の調査では、男性62.7%、女性39.3%と大幅に増加した(ジャパン・セックスサーベイ)。 「理由は、やはりコロナ禍が大きい。出社や合コンが消え、それまでの出会いの形が崩れました。マッチングアプリが普及し、既婚者も相手の見た目や内面の情報をリスクなく得られるようになった。その気軽さが、道徳的な裏切り行為として断罪されやすかった不倫への罪悪感を下げましたね」(森川氏) そして’22年には“既婚者の新たな出会い”を謳う「カドル」や「Healmate(ヒールメイト)」といった既婚者専用マッチングアプリが続々と誕生。爽やかに演出された出会いが現代人のニーズや心理に合致し、会員数はうなぎ上りだ。 「一つの要因は既婚者たちが性欲のはけ口ではく、“心の繋がり”を求め始めたこと。’20年にはセックスレス夫婦の割合が初めて5割を超え、特に男性は、精子の数が半減しているという欧米の研究結果もあるほど、現代人の性欲は著しく減退しています」(同) 今年春にも新たなアプリが複数リリースされる予定で、この不倫市場はさらなる盛り上がりを見せると予測される。