朝からアメ横で中華を食べようとしたら、店員が全員不機嫌だった…でも、朝食は優しかった/カツセマサヒコ
ただ東京で生まれたというだけで何かを期待されるか、どこかを軽蔑されてきた気がする――。そんな小説家カツセマサヒコが“アウェイな東京”に馴染むべくさまざまな店を訪ねては狼狽える冒険エッセイ。今回の舞台は、平日朝のアメ横。「朝食をテーマにしたことがない」という担当編集のひと言から始まった、朝から中華を食べる一日。訪れた店で著者を待っていたのは、なぜか全員が不機嫌な店員たちだった。願いは今日も「すこしドラマになってくれ」
「いろんな店を回りましたけど、実は朝食をテーマにしたことが一度もないんですよね」
ある日、担当編集がぽつりと漏らした。分厚い雲に覆われている午後のことだった。
言われてみれば確かに、と私は頷く。連載のためにわざわざ朝から都内へ向かうなんて面倒だな、とは思うが、飲食店をこれだけ回っていながら一度も朝食が登場しないのも不自然である。
「カツセさんは普段、朝食は食べます? パン派ですか? ご飯派ですか?」「あ、食べますよ。パンが多いです」「おお、丁度いいですね」
担当編集の表情がパッと明るくなった。
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」
アメ横で不機嫌に中華を【上野駅・天天楽・福楽(中華屋)】vol.45
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」

