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鬱と元ひきこもり、社員2人の出版社が作った『鬱の本』が話題。「世の中に復讐できるかな…」

鬱と元ひきこもり 本で復讐……できるかな

屋良朝哉 小室ユウヤ_エッジな人々

出版社「点滅社」:屋良朝哉 小室ユウヤ

「どうせなら最後にやりたいこと全部やってから死のう」、公式noteの代表挨拶に綴られているのは、そんな不穏ともいえるメッセージだった。中央線沿いの小さなアパートで、社員たったふたりの出版社――その名も「点滅社」。“日々を静かに、面白く照らす”をコンセプトに、代表の屋良朝哉氏と小室ユウヤ氏が知識・経験ゼロの素人ながら見切り発車で設立した会社だ。代表作が、昨年11月に刊行した『鬱の本』。代表の屋良氏も鬱に苦しみながら経営を続けるなかで、書籍は重版を繰り返すなど、希望が見えている。ウツウツとしながら輝く、2人の未来とは? ──おふたりは’22年に「点滅社」を設立するまで、どんな生活を送られてきたのですか? 屋良:僕は出身が沖縄で、21歳のころまでは地元の大学に通っていました。でも沖縄は明るい人が多すぎてあまり馴染めなくって……。大学も3年で中退し、憧れの東京に行ってみようと思い、高円寺のシェアハウスに滞在しました。本当は1か月くらいで沖縄に戻る予定だったんですけど、そのままずるずる9年間東京に居続けている感じですね。あ、声小さいですか? すみません。 ――いえ、大丈夫です。最初はそのシェアハウスの仲間たちとボードゲームカフェを立ち上げたとか。 屋良:ただの暇潰しだったのが次第にSNSで人を集めて少額で会を開くようになり、カフェにしようって。ボードゲームはむちゃくちゃ好きってほどではなかったけど、そこが唯一の居場所だったから……。ユウヤさんは、そのとき仲良くなったお客さんだったんです。 小室:8年前かな? 屋良が22歳で自分が26歳のとき。お互いアメリカンニューシネマが好きで、すぐに意気投合しました。 屋良:でも、僕が25歳のときにカフェは潰れて、それから4年間ニート生活を送りました。シェアハウスの人たちとはバラバラになって、それが原因かはわからないけど、鬱病を発症したのもそのころから。駅のホームにいると体が勝手に飛び降りようとしてしまうほどで、柱につかまってなんとか耐える毎日。今も自傷癖やオーバードーズと付き合いながら生きています……。

社会への復讐心が原動力になった