仕事

ラーメン店経営、最大の試練は客の民度「こんなマズイもん食えない。お前、一度食ってみろ」

 一度しかない人生、窮屈なサラリーマン生活とオサラバして起業したい——。とくに居酒屋やラーメン屋などの飲食店は、中高年が手を出しがちである。しかし、そう簡単にはいかないものだ。実際に店を経営した2名の男性に待ち受けていた試練とは……!?

頑固一徹、蕎麦を追求するも商売の厳しさを知り失望

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デザイン事務所を経営後、広告代理店サラリーマンを経て越前蕎麦屋を開業した戸叶航一郎さん(仮名・58歳)

 都内在住の戸叶航一郎さん(仮名・58歳)が越前蕎麦屋を開業したのは、15年間経営したデザイン事務所を経て、広告代理店の部長職を2年でリストラされた47歳のときだった。 「もともと蕎麦打ちが好きで、越前おろし蕎麦を通じて日本の食文化を世界に発信したいという思いも抱いていたので、思い切って蕎麦屋の開業に挑戦したんです」  開業となれば故郷の有名蕎麦店で40日間の短期修業をして、並行して東京では開業準備を進めた。 「グラフィックデザイン事務所を経営していたので、内装や食器にこだわりました。予算は結局1000万円。内装に使った越前和紙だけでも50万円超、食器や酒器も福井県の伝統工芸品を揃えました」  晴れて都内で開業。インストア・ライブやイベントも盛りだくさんでスタートしたが、3か月目には大震災の影響でスタッフが全員退職。故郷から応援に来た母親と2人で切り盛りした。 「母は厨房の立ち回りを心得ていたので心強かったです。でも、2年3か月たち、母が帰郷してから歯車が狂いだしました……」

最終的にはワンオペに

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手打ち蕎麦のほか、郷里のものを使ったつまみや純米酒の提供にも力を入れていたそうだ<写真/PIXTA>

 漆食器は食洗機は使えないので手洗い。一方で大根おろしは1分で味が変わるし、手打ち蕎麦も茹でたてが命。スタッフは命じた厳しい手作業にはついていけず、最終的には一人で店を回すことに。 「オープン時には33席の店でしたが、ワンオペで回す関係上、一日7人限定、4500円のコースのみという形態をとりました。でもこの価格帯では、ふだん立ち食い蕎麦や食堂の蕎麦に慣れているサラリーマンには理解されず。通ってくるのは蕎麦通のみ。丹精込めて打った蕎麦は時間とともに変化するんです。なのに、お客さまが来なければ廃棄するしかなく、苦しかった。クリエーティブな仕事だと思っていた蕎麦屋は単なるサービス業だと思い知らされました」  8年3か月、負債を負う前に撤退も、老後資金をほとんど失った。サラリーマンをしつつ、週末蕎麦打ちが賢明だったのだろうか。
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ラーメン好きの夢「いつかは自分もラーメン店を」
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