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脳波でスマホやPCを操作する未来。人体の限界突破を目指す「ブレインテック」最新事情

―[120歳まで生きる]―
「人生100年時代」が叫ばれるようになったのも束の間、研究者の間では、「人間が120歳まで生きる」というのはわりと現実的だと考えられているという——。 さまざまな技術が進歩するなか、「ブレインテック」という言葉をご存じだろうか。人間の脳を機械と接続することで能力の向上やヘルスケア、学習などに役立たせようとするテクノロジーのことだ。新たな成長分野として、世界中の企業が研究・開発を進めている。果たして、その最先端とは!?

脳とAIを合体させる? 人体の限界突破を目指す「最新テクノロジー」の世界

脳とAI「なかでも先鋭的な研究をしているのが、イーロン・マスク氏です。彼は’16年にニューロリンク社を設立し、’21年4月には猿の脳内にセンサーや半導体チップを埋め込み、脳内の電気信号だけでゲームをして遊ぶ様子を公開しました。まだ動物実験の段階ですが、今後は重度障碍者のリハビリ目的での運用を目指すとしています」  そう話すのは最先端テック領域の取材を続ける、ジャーナリストの小林雅一氏だ。これはブレインテックのなかでも「BMI」(ブレイン・マシン・インターフェース)と呼ばれるジャンルで、すでに療法として確立している製品もある。 「例えばDBS(ディープ・ブレイン・スティミュレイション=脳深部刺激療法)という技術があり、パーキンソン病など神経系の病気だけでなく、最近ではうつ病など精神疾患の治療にも使われています。さらに、DBSは老化などで記憶力が低下した人に対しても使うべく研究が進められています。主導しているのはアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)です」  研究内容によれば、まず治験者は脳の大脳基底核という部分に複数の電極を埋め込まれる。その後、PCモニターに映った12個の無関係の単語を見せられ、モニターを消した後に「今覚えている単語を教えて」と聞かれたそうだ。 「その結果、12個のうち3つしか答えられなかったのが、次に電極を通じて微弱な電気ショックを受けた直後に聞くと、今度は12個すべてを答えられたそうです。治験者の証言によれば『自分は思い出そうとしたのではなく、ショックを受けた瞬間に脳内に12個の単語が浮かび上がってきた』と」  こうした研究が進めば、老化した記憶力を若返らせることも夢ではないのかもしれない。

脳波でスマホやPCを操作!?

「当然、マスク氏のニューロリンク社も将来的には長寿ビジネスとしての展開も狙っているでしょう。脳波だけでスマホ入力をしたり、サイバー空間から脳に直接情報をダウンロードしたり、健常者が超能力者になるような世界を目指しているはずです。ただ、マスク氏は『進化し続けるAIに人間が対抗するためにはBMIによって自らをアップグレードしなくてはいけない』などと過激な発言をしているので、規制当局がなかなか臨床研究を許可しません。むしろオーストラリアと米国に拠点を持つシンクロンという企業が’21年7月に臨床研究の許可を受けました。ALSの患者さんがBMIによってPCを動かすような技術を進めていて、そっちが先に製品化されるかもしれません」  では、こういったブレインテックがさらに進化した先には、どのような社会が待っているのか。
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ブレインテックがもたらす未来
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