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牛丼店、牛タン専門店も悲鳴…価格高騰「ミートショック」の真相

コロナ禍と時を同じくして食肉価格が上がり続け、「数か月後には食肉が枯渇する」とも言われる。政府は’30年までに年間農林水産物輸出額を5兆円にする目標を掲げたが、輸入肉に頼りきりの状況を打破できるのか?

「未曽有の値上げ」に戦々恐々とする関係者

ミートショック

写真はイメージです(以下同)

 食肉の値段が高騰している。割高となっていた豚肉と鶏肉の高騰は昨年末から徐々に落ち着きを取り戻したが、いまだに価格が高止まりしているのが牛肉だ。 ミートショック 独立行政法人農畜産業振興機構の発表によると’21年1月を境に、すべての部位で上昇一辺倒の値動きとなっており、特に米国産牛タンは’21年12月時点で前年比約180%の上昇となっている。 「経験したことのない値上げ。過去はせいぜい1㎏当たり200~300円の値幅だったのが牛タンや米国産ハラミは倍になっています」(食肉輸入卸業・タイシンフーズ営業部長・斉藤輝充氏)  米豪産牛肉のすべての部位が値上がりしているが、中でも最も安く買えるのは米国産ならば「ウデ」(㎏当たり前年比112%)、豪州産は「ハラミ」(㎏当たり前年比107.8%。ともに冷凍、’21年12月時点)である。  冷蔵肉はさらに割高だ。牛丼店も続々と値上げしており、吉野家の牛丼並盛が昨年10月、387円から426円に。すき家も同12月、並盛が350円から50円上がった(どちらも税込み価格)。直撃を受けたのが牛タン専門店だ。先頃、「おウチでマジ牛タン」を販売していたSGGKグループの破産が報じられたが、「卸値が倍になった分、利益率も半分ですが、据え置くしかない」と都内の牛タン専門店も苦境を吐露する。  関東の某焼き肉店は「牛タンとハラミは必ずといっていいほど注文されるメニューですが、利益が取れないので他の品数を増やしてそちらに興味を持ってもらうようにしている」と話す。 ミートショック

コロナ禍による飲食店の休業も打撃に

 農林水産省は混乱が続く背景について次のような見解を述べる。 「豪州産の値上がりは’18~’19年に起きた干ばつや森林火災の影響で頭数が減ったのが原因。しかし’20年は雨がしっかり降り牧草の育ちもよく、出荷数は回復してきている。米国産はインフレと景気回復による国内価格の上昇、そして新型コロナ禍で工場が閉鎖されるなどの影響が関係している」(畜産局食肉鶏卵課)  加えて、コロナ禍による飲食店の休業も追い打ちをかけた。そんな八方塞がりの状況のなかで前出のタイシンフーズが頭を悩ませるのは、在庫管理だという。 「値段高騰による需要低下が続けば、今後は冷蔵肉を買い控え、在庫を冷凍保存する必要が生じますが、そうなると売価が大幅に下がります。物によってはマイナスになるものも……。ただ、冷凍肉がなくなれば2~3か月後には全国的に品薄になるでしょう。すると、冷蔵肉の値段がまた上がるといった悪循環が起こり得ます」  卸先の95%が飲食店という都内の輸入肉卸業者も、「店舗自体が営業していないので、過去1年間は仕入れても在庫を捌けなかった」と話す。業者がこのまま買い控えることにより国内に流通する輸入肉が底を突けば今後は高価な国産肉に目を向けざるを得ないが、「国産については牛も豚も品質評価技術や格付という日本の強みを生かしながら、味の向上に努めていくしかない」(農研機構・食肉品質グループ佐々木啓介氏)と話す。
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牛肉が「中国に優先的に入るのは当然」?
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