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牛丼値上げの正体は「中国人の爆食」? 豚から牛へ食生活が変化して

「世界の牛肉は中国人が食い尽くしてしまうんじゃないか」——。  ある食肉卸関係者は驚きを込めてこう話す。日本では昨年、大手牛丼チェーン3社(松屋、すき家、吉野家)が値上げを発表し、牛タンの価格高騰も注目を浴びたが、この背景には中国の「爆食」がある。中国では近年の経済成長で牛肉に対する需要が高まっており、米国や南米アルゼンチンの牛肉価格高騰の原因にもなっている。

豚肉主体の中国が経済成長、牛肉需要が高まり輸入量世界トップに

牛丼

※写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)

 中国では元々食肉といえば豚肉がメインだったが、経済成長に伴う食の多様化で牛肉需要が急激に高まっている。輸入量も増え、2020年には約212万トンと世界トップとなり、17年の106万トンからたった3年で倍増した。  これだけ極端に輸入が増えれば、日本を含めた他国にも影響が出るのは避けられない。日本では昨年、松屋、すき家、吉野家の大手3社が「並盛」などの値上げに踏み切ったが、牛丼に使われる米国産バラ肉「ショートプレート」が昨年からそれまでの倍に値上がりしたためだ。デフレの象徴として「安くて美味い」と親しまれた牛丼だけに、社会に大きなインパクトを与えた。
牛肉

牛丼用の肉としておなじみの米国産牛バラ肉(ショートプレート)

 牛タンも昨夏ごろから価格が倍に高騰し、牛タン定食で有名な「ねぎし」など専門店で値上げが相次いだ。牛タンは元々牛一頭から一本しか取れない希少部位だが、日本のほかはごく限られた国でしか食べる文化がなく、「米国や豪州からの輸入がほぼ独占的にできていた」(前出食肉卸関係者)。それが中国でも牛タンが人気となり、供給量が減り日本の輸入に影響が出たというわけだ。

牛肉消費大国の北米やアルゼンチンでも品不足で価格高騰

   牛肉消費大国の米国やアルゼンチンでも中国の「爆食」の影響が出ている。  米国では、21年1〜4月の中国への牛肉輸出量がすでに20年の1年分を超えるなど急増し、コロナ禍での牛肉加工場の操業停止などとも相まって米国内の牛肉が品不足となり価格が高騰した。ステーキがメニューから消えたレストランまであった。  アンガス牛で知られるアルゼンチンは輸出先の7割が中国のため、非常に影響を受けやすい。一人当たりの牛肉消費量が世界トップクラスのアルゼンチンだが、あまりに中国向けの輸出が増えたため、牛肉価格が高騰。アルベルト・フェルナンデス大統領が原因を「中国人の胃袋にある」と指摘し、昨年に輸出禁止措置に踏み切ったほどだ。
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中国の強大な購買力に押される日中牛肉争奪戦
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