
「挿入は激しいほうがいい」「潮吹きは女性が感じている証拠」「セックスは射精したら終了」……。これらがセックスの“正解”だと思っているあなたは、もはや時代遅れかもしれない。
「これらはセックス経験が豊富な男性でも勘違いしている、間違いです。日本の男性は長らくAVをはじめとした性関連コンテンツから学び、『セックスとはこうあるべき』という形を、自分のなかでつくってきました。しかし、女性の観点からすれば、そういった“常識”の多くは間違いで、むしろ男女のすれ違いを加速させるものだったりします」
そう話すのは、著書『新しいセックス』で、日本人の間違ったセックス観について鋭く洞察している、コラムニストのBESTY氏だ。
ゴールドフィンガー、潮吹きが男性を勘違いさせた
では、そもそも日本人男性のセックス観はどのように変わってきたのか。BESTY氏はAVの影響を指摘する。
「AVの内容には参考になる部分も多いですが、基本的には“魅せるセックス”です。それを参考にして丸ごとマネしようとすれば、どうしても勘違いが生まれます。AVのトレンド変化を見ると、日本人のセックス観が変わっていく変遷が見えてきます」
振り返ってみれば、AVは1990年代から一気に普及を始めた。それは単なる“オカズ”の流通だけでなく、AV式セックスの普及にも繫がったという。
「1990年代半ばには、AV男優の加藤鷹さんが『ゴールドフィンガー』というキャッチフレーズとともに人気になりました。2000年に発売された書著『秘技伝授』は大ヒットし、これがセックスにおけるハウツーブームの火付け役になったと思います。
それまでのAV業界といえば、『全裸監督』で知られる村西とおる監督も人気でしたが、当時はモザイクも濃く、ホラ貝を吹く演出などを含めてファンタジー要素も強かった。それがゴールドフィンガーに端を発するハウツーブームでぐっと身近な存在になった」