「ウチは中小企業だから賃上げできない…は言い逃れだ!」伝説のアナリストが提言する真の賃上げ策

日経平均が一時4万円の大台を突破し、世間は色めきたっているが、賃上げは一部の大企業に限られ、いまだ道半ばだ。ただ思いもよらない理由で、すでに好景気に沸いている業界もある。どんな仕事の給料が爆上げしているのか? 働く人々の暮らしぶりに迫った!

「日本の株式市場はようやく34年前の水準に戻っただけ」

賃上げバブル職業案内

小西工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏

今回、34年ぶりに日経平均株価が高値を更新したが、平成バブルの頃、瀕死の日本経済を再生させるヒントを詳細なリポートにまとめた「伝説のアナリスト」がいる。当時、外資系投資銀行の最前線で活躍し、誰も把握できなかった不良債権の総額を20兆円と割り出し、将来的に日本の主要銀行は2~4行になるとズバリ言い当てたデービッド・アトキンソン氏がその人だ。彼は、令和バブルと色めき立つ現状をどう見ているのか。 「日本の株式市場はようやく34年前の水準に戻っただけ。賃金に関しても日本は30年間ほぼ横ばいで、高い給料を払っている企業も出てきてはいるが限定的です」 確かに、ここ最近は景気のいい話ばかり報じられている。だが、そういった“感情論”が「むしろ、賃上げムードに水を差す」とアトキンソン氏は言う。 「テレビで中小企業の社長が『半導体工場が時給をつり上げているから人手が集まらない』と嘆いていましたが、これは経営者側の目線で、日本的な横並びを是とする感情論にすぎない。給料を安く抑えたい社長のために、なぜ労働者が犠牲にならなければならないのか? むしろ高い給料を払う企業が多く出てくれば、労働力の流動性は高まり、労働者の所得も上がる。そうなれば、日本経済全体にいい影響を及ぼします」

給料が上がる仕組みをつくるには?