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性は生の特効薬? ソープ通いに没頭する、がんサバイバーの話/國友公司

vol.05/ルポライター 國友公司

性は生の特効薬? ソープ通いに没頭する、がんサバイバーの話

僕の友人にステージ4のがん(軟部肉腫)と闘うニコラスという男(55)がいる。ニコラスは長年、妻からの精神的かつ経済的なDVに苦しんでいたが、調停の末に離婚。彼の脚にがんが見つかったのはその直後のことだった。ニコラスが50歳のときのことである。 僕は路傍のジョン・レノンに出会ったがんセンターの担当医から告げられたのは「脚の切断」だった。さもなくば、5年生存率は50%だという。しかし、ニコラスは寿命ではなく脚を選んだ。離婚後の自由を仲間との海外旅行に費やしていたニコラスは、どうしてもその楽しさを捨てることができなかったのだ。 そして、大きな理由がもうひとつ。ニコラスはとにかくソープランドに行きたかったのである。
元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion