今年35周年を迎えた電気グルーヴのメンバーとして音楽活動を続けながら、最近ではNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』や『サンクチュアリ -聖域-』などの話題作で再び俳優としての確かな存在感を示しているピエール瀧。
今回は旧知の演出家マッコイ斉藤を迎え、地上波から配信メディアへと活躍の場を移す二人から見える、現在のテレビ業界と二人のこれからについて話を聞いた。
2人の出会いは深夜番組
──まずお二人の出会いについて聞かせてください。
瀧:『MARU,GARITA』っていう深夜番組かな。
斉藤:そうそう。YOUさんと瀧さんがMCで、今では絶対にできないような、クズを集めた番組(笑)。でも、直接会うのは結構久しぶりですよね? 何年か前に光浦(靖子)さん、森三中の黒沢(かずこ)とかが「瀧さんと飯食わせろ」って言ってくるから、みんなで飯を食ったのが最後じゃないかな。
瀧:そういえば光浦さんって、まだカナダにいるの?
斉藤:いますよ。料理の勉強をしてるみたいで、たぶん料理人になって帰ってくるんじゃないかな。
瀧:あの人も面白いよねえ。
斉藤:俺が総合演出した『ピエール靖子』のときも、瀧さんと光浦さんは相性がいいなと思ったんですよ。あの番組には、有吉(弘行)や椿鬼奴と大久保(佳代子)さんがモルモットという肩書の実験台役として出ていて。
瀧:もう、今じゃ考えられないよね。有吉くん超面白かった。
斉藤:有吉は行くべくして行った男なんで。あの番組に出てた人は、全員本当に面白かった。
求められているものはわかっているつもり
──瀧さんはNetflix作品に出演していますが、地上波を中心にご活躍されていた頃から仕事のスタンスに変化はありますか?
瀧:そんなに変わってないと言ったら変ですけど、やれることしかできないですからね。でも、自分に求められているところはわかってるつもりです。
斉藤:『サンクチュアリ』の親方っぷりはやばいっすからね。本当に見事な作品でしたよ。もう最初のつかみから好きです。あと主人公の母ちゃんが黒人の方と不倫してる、あれがまた面白い。ずっとおっぱい触られてるっていう。ああいう演出、最高ですね。
瀧:でも、あれもそのまま地上波では難しいんじゃない?
斉藤:いや、無理ですよ。際どいベッドシーンもありますから。
瀧:あるけど、直撃でおっぱいがポロ~ンとかではないですよ。
斉藤:いやぁ、ゲイ男性が危険なことをするシーンもあるしな~。
瀧:Netflixにも禁止されていることはあるんですけど、それが地上波と違ってちゃんと作品の濃度を高めるためのルールなんですよね。例えば、美術の予算がしっかり上積みされていたり、朝5時から夜中2時までやって、明日も6時集合、みたいな撮影スケジュールもない。
だから、仕事のスタンスの変化という意味では、ひとつひとつの作品に正当なエネルギー量を注ぎ込みやすい環境にいられているんじゃないかと思います。
ピエール瀧はゆるく旅をさせたら天下一品