強烈な幻覚作用で、視覚や聴覚が歪み曲がり、日本を含めた世界各国で禁制品となっている合成薬物「LSD」。そのサイケデリック効果に魅せられ、ビートルズやスティーブ・ジョブスらが愛用していたことはつとに有名だ。ビートルズの楽曲「ルーシー・インザスカイ・ウィズ・ダイヤモンド」は頭文字をみればわかるように、LSDがテーマとなっていることは、音楽業界では広く知られている豆知識だ。 目下、LSDに似た効果が得られ、かつ合法だとしてクラブシーンで注目を集めているのが「1cP-AL-LAD」（以下、1cP）だ。これをセックスドラッグとして用いている人物が、「曲げセク」の妙味を語った。 千葉県在住の会社員安永隆さん（仮名、27）が1cPに出会ったのは今年初頭。クラブ通いで知り合った男性の友人に勧められ、フリマサイトで「観賞用」と称して販売されていた1cPを１枚4000円で３枚購入した。 「最初に１枚試して舌の下で転がしてみましたが、何も効果が得られず興ざめでした。１週間ぐらい経って、自宅で２枚一気に口に含んでみました。そして30分ぐらい経過すると、電灯色の円型の照明が紫色に輝いてきたと思ったら、『Z』の形に曲がってみえちゃって。そこからは、アフリカやらヨーロッパやら行ったことのない土地にあたかもいま自分がいるような気分になり、果てには宇宙遊泳して星々の間をさまよっているような感覚になってしまって。まさに、“トリップ”という旅を自宅に居ながらにして体験できた気分でした。音楽を聴いても、音符が空間をひらめているよう。ドラッグといえば、それまでは東南アジアで現地の大麻を吸ったぐらい。幻覚剤を試したことがなかったので、こんな体験ができるのかと感動しました」 そして、強烈な初期衝動では、もう一つ忘れられない感覚があった。