弁護士なのに食えない!貧乏弁護士に詐欺グループが“提携”を持ちかける闇

 各種詐欺の被害金を取り戻すと宣伝し、被害者から着手金だけ受け取って対応しない……。そんな二次被害が各地で増えている。背後には名義貸しをする“提携弁護士”の存在があった! いったいどうなっているのか――。

貧乏弁護士に忍び寄る非弁提携の“魔の手”

[闇堕ち弁護士]の実態

ジャーナリスト・秋山謙一郎氏

「非弁行為」(弁護士のみに認められている行為を弁護士以外が行う違法行為)の横行の背景には、「食えない弁護士」の存在があるという。『弁護士の格差』(朝日新書)などの著書があるジャーナリストの秋山謙一郎氏は言う。 「1999年から進められた司法制度改革で、弁護士の数はこの20年で約2倍になりました。’15年頃、弁護士の半数は年収400万円と言われていた。その後、仕事にありつけなかった弁護士はある程度淘汰され、弁護士余りは少し落ち着いた印象です」  しかし、今でも食えない弁護士はいる。「非弁提携(非弁行為を、債務整理や詐欺の被害金回収を謳う事務所運営業者と弁護士自身が連携して行うこと)しないかと誘われた」と証言するのは、弁護士のM氏(46)。  大卒後、地元マスコミに就職し、刑事裁判の取材を経験。「外からではなく内から裁判を見たい」と弁護士を目指すも司法試験に3回落ち、「三振ルール」(当時)で受験資格を失うも、予備試験を再び受けて受験資格を得て、見事復活した“ゾンビ弁護士”だ。 「就職先がなく、いわゆる『ノキ弁(他弁護士事務所を間借りして営業すること)』がキャリアのスタートです。でも、思ったよりも仕事がこなく、家族を養うために学習塾講師や近所のスーパー、ガソリンスタンドでもバイトしてました。やがて軌道に乗り、独立し開業しました。  借金や離婚、子供のいじめ問題とかを手掛けてますが、それでも年収は500万円くらい。ヤツらもよく調べてますよね。さも弁護士の事務代行をしますといって、電話やFAXで『業務提携』の話を持ってきます。しつこいですよ。苦労してようやくなった弁護士です。貧乏しても非弁に手を染めることはありません」  一方、年配のベテラン弁護士にも魔の手は伸びている。