条例でタワマン建設を規制。決断した神戸市の思惑とは?

 庶民から羨望の眼差しを向けられてきたタワーマンション。そんな金殿玉楼も寄る年波には勝てず、老朽化によりメッキが剝げてきている。ステータスの象徴から、栄枯盛衰の象徴になるか……。住民だけでなく、国民全体を巻き込む最悪の事態に発展しかねない「タワマンの未来」に迫った。

条例でタワマン建設を規制…決断した神戸市の思惑とは

[高齢タワマン]の怖すぎる現実

神戸は山と海に挟まれた東西に長い土地。利便性がいい都心部に人口が集中するのは自然だが……

 タワマンの課題を憂慮し、すでに行動に移しているのが、兵庫県神戸市だ。  神戸市は’19年7月にまちづくりに関する条例を改正し、神戸最大の市街地である三宮を中心に、タワマンの新規建設を事実上規制する項目を盛り込んだ。  その経緯を神戸市都市計画課の担当者に聞いた。 「都心部への過剰な住宅の供給が、都心部の魅力低下やインフラ不足、郊外の住宅需要の減少に繋がるという懸念が発端です。’17年には都心の土地利用のあり方について有識者会議を開催。  検討を重ねた結果、神戸全体の商業や業務などの都市機能と居住機能のバランスを取るため、中心地で住宅需要も集中しやすい三宮近辺は、タワマンなどの大規模住宅の新規建設を制限する内容になりました」