仕事

「日本が30年も低迷しているのは、経営者の責任」D.アトキンソン氏が語る日本の行く末

国際競争力に劣る日本。移住者が増加するなか、己の才覚と哲学を武器に成功する外国人経営者たちがいる。日本人の既成概念を飛び越えて活躍する彼らの“日本で成功するための仕事の流儀”に迫った。 保守的だった国内老舗でもプロの外国人経営者に期待を寄せる企業が近年目立つ。ゴールドマン・サックスのアナリストや菅政権の経済政策ブレーンとして活躍し、現在は小西美術工藝社社長を務めるデービッド・アトキンソン氏が「経営者の良しあしを国籍だけで論じるのは好まない」としながらも、その背景を語る。

元敏腕アナリストが語る外国人経営者と日本の未来

外国人経営者に学ぶ[仕事の流儀]

デービッド・アトキンソン氏「日本のトップ1%での国際競争は限界がある」

「老舗企業の多い国内では戦前からの『日本的な家族経営』が成功の秘訣と語られがちですが大きな誤解です。そもそも戦前は日本人の平均寿命が短く、60代でトップが亡くなり40代の子供が継ぐパターンが多かった。統計的にも40代で社長になると業績が伸びやすいので、良いタイミングで後継ぎができていただけです」 また、高度経済成長期の成功体験が日本式経営術の過剰評価を生んでしまったという。 「この時期の経済成長の主要因は、人口ボーナスによるもの。今のアメリカもそうですが、人口増加率が高ければ労働力も増えるので、トップが誰であっても経済は成長する。日本は恵まれた外的要因を経営手腕と勘違いしてしまった。実際に日本人の経営者の多くは、経営専門の研修を受けていないから判断スピードも遅い。日本人は勤勉で優秀な労働者が多いのに、30年間もGDPが横ばいなのは経営者の責任でしかない」