企業の倒産件数が33か月連続で増加し、ついに今年度は’13年以来、11年ぶりに1万件を超す可能性が出てきた。企業の破綻は突然のように見えても、徐々に傾く“予兆”は随所に表れ始めている……。そこで、本特集では「決算」「人材」「職場環境」から倒産の危険度を凄腕コンサルタントたちが勝手に診断! 果たして、あなたの会社は、倒産間際か?
「あなたの会社は大丈夫?」……危険なサインとは

写真はイメージ
働き方改革コンサルタントとして長年多くの会社を分析してきた新田龍氏は、「『決算』『人材』『職場環境』の3つの視点から企業を分析すれば、その会社の危険度は見えてきます」と話す。
今回、SPA!で“勤める会社の倒産に不安な人”を募集したところ、驚くほどの不安や不満、危機感を明かした回答が集まった。「コンプラ窓口が機能していない」「ワンマン社長の横暴」「ハラスメントの横行」――。小さなほころびが、一気に会社を壊す可能性が高いのが現代社会。あなたの会社はどれだけヤバい?
ヤバい会社レベル
黄信号レベル
なんちゃってホワイト企業
外面はさほど悪くないが、社内の一部で猛烈な不満がたまっている。ほころびが大きくなる前に、抜本的な見直しが必要
倒産予備軍レベル
社員の我慢で成り立っている
即倒産とまでは言わないが、時限爆弾が随所に潜んでいる。社員の我慢で成り立っている部分の解消が喫緊の課題だ
即倒産レベル
まだ営業できているのが逆に奇跡
さまざまな存続が怪しいポイントを網羅している貴社。労基署の抜き打ち調査がいつ入ってもおかしくない状態
とにかく“白さ”を追求するための弊害
会社Information
伊藤彩子さん(仮名・45歳)・課長
金融業
東証プライム上場
従業員/1000人以上
メディアなどで「ホワイト企業」と呼ばれる会社に勤めています。とにかく“白さ”を追求するため、ワークライフバランス、ハラスメント、コンプライアンスなどの“研修”が常にあり、本業を圧迫します。単に上層部の趣味なんじゃないの?と思う読書会なども負担です。私は女性管理職推進で10年前に急遽課長になるも、自身の業務+マネジメントを求められ、さらに報・連・相も増加、常に業務に追われています。「ノー残業デー」の恩恵も一部の部署だけで、むしろ邪魔。効率化のため、新しいシステムに頻繁に変わるので、慣れるために時間がかかり、結局、仕事に余計な時間がかかります。給与は悪くないからと踏ん張っていましたが、最近、会社の先行きが不安です。
形式的なコンプライアンスは社員のやる気を奪う
“ホワイト企業”が形骸化し、過重労働に悩む相談に対し、「実働部隊の現役社員たちに健康被害が出て、結果、社員の心が離反し、ロイヤルティは下がっていきます」と、懸念を示したのは前出の新田氏だ。その理由をこう話す。
「業務のしわ寄せが集中した結果の過重労働は法規違反に直結する部分。今は従業員が踏ん張ってくれているが、残業の放置は一歩間違えると法規違反になるだけでなく、重大な健康被害を招く恐れもあります。モチベーションの低下にも繫がり、労基署やメディアに告発されれば、ダムが決壊して、組織全体の評判が傾く可能性は高いでしょう」
また、経営コンサルタントの葛西幸充氏は、“女性管理職推進”という言葉に着目した。
「政府は’30年までに女性管理職の比率30%を掲げていますが、これは目標であって手段ではない。ここを混同し、数合わせで女性を管理職に就けている企業は結構多いです。本人の意思はもちろん、評価や適性を無視すれば、そのポストを狙っていた優秀な人材が外部に流出するリスクが高まり、仮に管理職の適性がないと、組織のパフォーマンスそのものが低下して、経営そのものがぐらつきかねません」
形式的なコンプライアンスは社員のやる気を奪うだけだ。
日常との差異が会社が傾く予兆となる