「組織の歯車になるのが怖かった」元“日本一のニート”が語る40代からの働き方改革と自由の本質
世代を問わずに働き方が多様化する昨今、積極的に「無職」という生き方を選び、ストレスフリーな生活を送る人が増えている。「仕事に縛られず、もっと自由に生きたい」そんな心の声を受け入れた先には、どんな暮らしが待っているのか――。
かつて“日本一のニート”として世間から注目を集めたpha氏が、今から2年半前の40代半ばを迎えた頃、書店員として働き始めた。20、30代の頃は“できるだけ働きたくない”と、頑なに会社や組織に属することを避けてきた彼が、なぜ今になって仕事に向き合うようになったのか? その理由を、pha氏はこう語る。
「同人誌を文学フリマで販売してみたんです。出版社を通すのでなく、自分一人で本を作って、顔の見える読者に商品を直接届ける。この余計なものが介入しないシンプルさが“生業”のように思えて、面白かった。印税のように間が不透明で回りくどくなく、努力が手触りを持って返ってくるのも新鮮でした。社会が高度化し、分業制が進みすぎたせいで、仕事の面白さが薄れているのかもしれません」
書店員になったことで、「働くのが苦手なのは思い込みだ」と気づかされたという。
「組織の歯車の一部となり、“自分”という存在が埋もれてしまうのがどこか怖かったのはあるけど、結局、過剰な仲介やルール、そして空気を読む必要性など、集団行動が苦手なだけだったんです。でも個人経営の小規模書店なら、本棚のディスプレイや仕入れなどで、“自分”を表現できる空間とすべがある。5人以下の規模感が最も心地いいですね」
“日本一のニート”が書店員に
![もう仕事に縛られない![無職が楽しい]の新潮流](/wp-content/uploads/2025/09/5bd90ab6b646d6417dcb52c38d46f2de-5-550x367.jpg)
pha氏が現在働く書店・蟹ブックス(高円寺)。セレクト新刊が中心の小さな書店は本を愛する人が集まるコミュニティとなっている


