更新日:2026年04月14日 16:08
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公園の売店『焼きそば』を弁当にして食す<人生最後に食べたい弁当は?>/久住昌之

『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは公園の売店で売っていた焼きそば。本当にファイナルになりえるのか。そして、お味はいかに?
孤独のファイナル弁当「公園の売店の焼きそば」

「公園の売店の焼きそば」

孤独のファイナル弁当 vol.18 「公園の売店の焼きそば」

 北海道に「やきそば弁当」という人気カップ焼きそばがある。あれをファイナル「弁当」にするのはどうか。と思いついたがすぐには手に入らない。締め切りは今日、というか今だし。まだギリギリ。  そうだ。だんごやフランクフルトやジュースを売っている、近所の公園の売店。たしか焼きそばも売っている。店内では食べられないから、当然容器に入っているはず。それだ。売店やきそば弁当。  すぐ買いに出て、売店で頼む。感じのいい若い女性店員が「少々お待ちください」と微笑んで、しばらくして奥から白いボール紙の箱を持ってきた。おお、まさに弁当だ。  これは仕事場に持って帰るべきか、今公園のベンチで食べるべきか。と、箱から微かにソースの匂いが漂ってきた。これは、安っぽいぞ。安っぽい香りだ。箱を開けてみる。もわ~んと湯気が上がる。箱ごと電子レンジでチンしたものと思われます。  これはね、部屋に持ち帰って落ち着いて食べたらダメなやつだ。お祭りの屋台の焼きそばと一緒。雑踏や外気の中で、できたてを食べるに限る味。  池のそばのベンチに座って、割り箸で麺を持ち上げる。思った通りのゴム感。ゴム焼きそば、若い頃から好きだ。町中華のソース焼きそばとは別物。でも青のりと紅ショウガがうれしい。具はキャベツとニンジン。肉ゼロ。問題ない。  食べた。うん。うん。最底辺かもしれない。日本料理の焼きそばとして。いいじゃないか。ソース味、薄め。それが「味がない」という方向にやや転んでいる。薄味とは違う。コクとかスパイシーという要素もほぼなし。油は冷めたらダメなやつだな。

1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi