更新日:2026年05月08日 16:54
ライフ

焼き鳥のタレで天ぷらを食べる!?『孤独のグルメ』原作者が20年ぶりに食べた天丼/久住昌之

『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは天丼。果たして、お味はいかに?
孤独のファイナル弁当

久しぶり過ぎる天丼弁当が、焼き鳥だった

孤独のファイナル弁当 vol.27「久しぶり過ぎる天丼弁当が、焼き鳥だった」

 天丼。ずいぶん長いこと食べていない。  最後に食べたのは「てんや」の天丼。仕事でマンガに描かねばならず、必要に迫られて食べに行った。でも、もはやどんな天丼だったかさえ思い出せない。  たぶん、20年近く前だ。以来天丼というものを食べていないと思う。ちょっと意外だった。  天丼が嫌いなわけではない。若い頃は神保町の「いもや」の天丼をよく食べた。今思い出したら食べたくなった。でも考えたら、いもや以外で天丼を食べた記憶がない。  天ぷらは好きだ。天ぷら屋には時々行く。といっても数年に一度だけど。  自宅では揚げ物は一切やらない。  そういうわけで、久しぶりに食べてみようと思って「房総産菜の花と小エビの天丼(玄米)」の小さいのを買ってみた。手に持った時、まだ少し温かかったのもある。作ってそれほど時間がたっていないと思われる。何度も書いているが仕事場には電子レンジがないのだ。カップ味噌汁も買った。前回冷たい弁当がこれにすごく助けられたので。具は前回なめこだったので、豆腐とわかめにした。  仕事場に着いてさっそく食べた。まず菜の花から食べた。  うん、菜の花だ。たしかにその天ぷらだ。青臭いというか新鮮な植物の香りがする。もちろんサクッとしてはないが、悪くない。ちょっとタレが甘いかな。  玄米は冷たくはなかった。おいしい。が、ちょっとタレが多いのでは。  友達のタキモトさんが、銀座の天丼屋で注文の時「タレ、少なめで」と言えるようになるのに5年ぐらいかかった、と昔言っていた。それ、今とてもよくわかる。

1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi