刺青びっしりの“不良外国人”が更生するまで。「団地生まれで “国に帰れ”とイジメられ…」

’23年6月末の在留外国人数が約322万4000人と過去最多を更新。数が増えれば、一定の割合でアウトローも出てくるのが世の常で、日本の裏社会と繋がって若い不良外国人が台頭しはじめていた。暴力団入りするブラジル人青年、窃盗団を組織するフィリピン人etc.日本でマフィア化する外国人アウトローの新たなスタイルとは? 今回は外国人が多く居住している団地で生まれ育った“元不良”の半生を紹介する。

地元への誇りを胸に更生したカンボジア人の現在

Z世代[不良外国人]の肖像

背中と臀部にかけてびっしりと覆う刺青が、荒れていた過去を彷彿とさせる。カンボジアの仏や国旗も彫られている

外国人が多く居住することで知られる、神奈川県平塚市の横内団地。ここで生まれ育った平井建さん(31歳)は、塗装をメインとした建設会社の社長として多忙な日々を送っているが、かつては「不良外国人」として大暴れしていた。両親はポル・ポト政権の迫害から逃れるため、難民として来日したカンボジア人である。 「団地にはカンボジア、ラオス、ベトナム、タイといったアジア系から、ボリビア、ブラジル、ペルーなどの南米系を中心に多様な国籍の人間が住んでいました。小学生の頃は、連日右翼の街宣車が20台以上やってきて、『不良外国人は国に帰れ!』と大音量で騒いでいたし、小中学校では『ガイジン』といじめられた。そんな環境で育ったので、ガキの頃は日本への憎しみが強く、日本人の不良と喧嘩ばかりしていました」 中学を卒業するとカンボジア系のギャングや暴走族として喧嘩三昧の日々を送る。しかし18歳のときに逮捕され、少年院で1年半を過ごすことに。容疑は傷害、監禁、恐喝、詐欺、窃盗などだった。 少年時代からヤクザになることを考えていたが、少年院での経験が彼を変えた。これ以上、無駄な時間を過ごしたくない。すでに大切な子供もいた。平井さんはまっとうに生きる道を模索していった。