更新日:2024年04月04日 17:43
エンタメ

放送作家を引退した鈴木おさむに「これから何するの?」と直球質問を投げてみた

「来年2024年3月31日で32年やってきた放送作家業を辞めることにしました」  昨年10月、突然の引退を宣言した元放送作家・鈴木おさむ。引退に至る経緯ををつづった『仕事の辞め方』(幻冬舎刊)は、“ソフト老害”というキラーフレーズを生み大ヒット。そして、氏にとって切っても切れない存在だったSMAPとの日々を克明に記した小説『もう明日が待っている』(文藝春秋刊)も刊行直後から反響を呼んでいる。日本のテレビエンターテインメントにおける一つの時代を築き、時代を駆け抜けた男は、エンタメと自身の明日をどのような目線で眺めているのか。

「放送作家辞める」宣言で面白い仕事ができるようになりました

鈴木おさむ_エッジな人々

元放送作家・鈴木おさむ

──昨年の引退宣言に始まり、『仕事の辞め方』が注目を集め、年明けからは脚本を手がけた最後のドラマ『離婚しない男─サレ夫と悪嫁の騙し愛─』がSNSを中心に大バズり。さらには小説『もう明日が待っている』とエッセイ『最後のテレビ論』を刊行。そしてNetflixにて企画・脚本・演出を担当したドラマ『極悪女王』が配信。作品ラッシュの展開は筋書き通りですか? 鈴木:たまたまです。去年の4月に「辞める」って決めてから、いろいろな偶然がいっぱい重なったっていうことです。『離婚しない男』のオファーも夏前でしたし。 ──放送作家を辞める理由の一つが「面白く生きてない」。これはテレビの仕事がつまらなくなったということですか? 鈴木:そうではなく、あくまで僕の生き方の問題です。千葉の田舎から出てきて、放送作家になるって決めて大学の教務課に退学届を出した帰り道「もうこの仕事だけで生きていくんだ」と思ったら、校門まで歩く間にアドレナリンがものすごく出たんですよ。その次に出たのが出会った日に「結婚しよう」と大島さんに言ったとき。そして自分が子どもと向き合って、大島さんが早く復帰できるよう育休を取ったとき。思い返してみると、ずっと自分で人生を大きく“振って”生きている感覚があって。 ──さまざまな場面で振り切ることによって人生を切り拓いていったのですね。 鈴木:SMAPと仕事してるなかでも、いろいろなことが起きるじゃないですか。彼らがピンチをチャンスやパワーに変えていくなかで、自分もそこに存在していたんですよね。だからSMAPが解散して、スイッチが入らないまま仕事をしている自分を俯瞰で眺めて「面白くないな」「このままでいいのか?」と思ったんです。 ──常に“振って”きた鈴木さんが今回選んだのが「辞める」ことであると。 鈴木:そうです。それによって何か取り戻したいとか、過去に対して未練や後悔があるとかじゃないんですよ。何より自分が面白くない。ですから辞めると決めて発表してから、今はすごい自分のなかでキラキラしているんです。 ──辞める大きなきっかけとなったのが『SMAP×SMAP』の終了とSMAPの解散とのこと。小説『もう明日が待っている』では、彼らと歩んだ日々、そして、’16年1月に同番組の生放送でメンバー5人が分裂騒動について謝罪したときの舞台裏について、鈴木さんの視点から詳しく書かれています。
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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