渡辺謙「人間自体が“ガラパゴス化”したら日本人はダメになる」

渡辺謙氏 アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた03年の『ラスト サムライ』を皮切りにハリウッドへと進出し、『バットマン ビギンズ』『SAYURI』『インセプション』と、日本を代表する国際派俳優として、映画界の第一線で活躍している渡辺謙。鋭い眼差しでカメラを見つめたあと、ふと遠くを見る……。たったそれだけの仕草が実に渋く、男の色気に溢れている。

 9月13日に公開される『許されざる者』は、クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた同名の名作西部劇を明治初頭の北海道に舞台を置き換えた作品だ。主演を務める渡辺氏はこう語る。

「イーストウッド版のインパクトは、僕のなかにもものすごくあったし、今回の企画を持ってきたのが李相日という、自分の作りたいものにとことん誠実な男だったんですよ。だから彼が『許されざる者』をやりたがっている、というのには相当心を動かされましたね」

 過酷な環境での撮影や役作りの苦労などを越え、「実際の社会と同様の理不尽さ」を丁寧に描けた映画になっているという。では、海外で活躍する渡辺氏の目から、今の日本社会はどのように映っているのだろうか?

「うーん、今の日本って、一元化されやすいよね。一つの話題が出ると、そのことだけに注目してしまって。海外から日本のトピックを見ていると『こんなことで、なんで右往左往するの?』みたいなことがあるわけ。あと、海外からの情報も、たった一人が伝えただけで、その国全体がそう思っているかのような感覚に陥ってしまう。そして、大事な話し合いや、本当は今、決めなきゃいけないことが、どんどん置き去りにされてしまっている」

 情報の取捨選択が問題だ、という話だがさらに渡辺氏は警鐘を鳴らす。

「これだけ情報が溢れているような気にさせられているけど、実は情報って絞られていて。自分で拾ったり、見たりしないといけない。それこそ、人間そのものがガラパゴス化してしまっているような気がするんだよ。日本でしか話題にならない、全然グローバルじゃない話が目につく。いろんな角度から情報を取るようにすることが、本当の意味でグローバルな考え方だと思うね」

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<本誌構成/宮崎新之 撮影/佐藤裕之 再構成/SPA!編集部>

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