更新日:2024年04月10日 20:51
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美味しいビールで酷暑を乗り切ろう!孤独のグルメ原作者が熊本の名店で『マルエフ』を味わう

 2021年、28年ぶりにアサヒビールから復刻販売されるや、まろやかな味わいとぬくもりのある世界観が評判となり、完売店が続出した『アサヒ生ビール(通称マルエフ)』。翌年には『アサヒ生ビール黒生』も再登場し、どちらも瞬く間にお茶の間に浸透した。そんな『マルエフ』には、飲食店でのみ樽生の形で継続的に販売されてきた歴史がある。熊本市にある老舗のビアレストラン『オーデン』もマルエフを提供し続けてきた店のひとつだ。今回は、『孤独のグルメ』の原作者であり、ドラマ後のミニコーナーでの飲みっぷりも話題の久住昌之さんが『オーデン』を訪れ、名人が注ぐ『マルエフ』を味わいながら、その魅力や『マルエフ』に合う料理などを伺った。
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1985年創業の『オーデン』は九州随一のビールの名店だ

1985年創業の『オーデン』は、阿蘇山から有明海に注ぐ白川と熊本城公園に挟まれた花畑町にある。手作りのハム・ソーセージやアイスバインといったドイツ料理が名物のビアレストランで、艶のある木の梁を巡らした店内はまるで本場ドイツのビアホールのようだ。 久住:熊本を訪れるのは今回で4回目です。平成から令和に変わる年に、雑誌『旅の手帖』の企画で、神奈川県川崎市にある昭和駅から熊本県熊本市の平成駅まで鉄道旅をしたんですよ。鈍行だったから、滋賀あたりで一泊して、次に山口で一泊して。やっと平成駅に着いたと思ったら、飛行機で帰ってくる。だからなんなんだっていう企画なんですけど、やってみると、だんだん面白かった(笑)。  今は「時短」とか「効率」ばかり言われるけど、各駅停車で、日本を横断していくのって、股旅感があるというか、昔の人の気持ちになってくるんですよ。  熊本の平成駅で、知らない人にシャッター押してもらって写真撮ってね。駅で切符の買い方間違えたら、若い駅員が「よかです」ってニコッと通してくれて、やられましたね。九州に来たんだなぁって強く思いました。やさしくて頼もしい言葉に思えました。  東京だったらせいぜい「今回はいいですが、今後は注意してください」くらいのところ「よかです」。たまらんです(笑)。  ここで、二代目オーナーの村山二郎さんが、『マルエフ』を注いでくれた。よく冷えた専用グラスに勢いよくビールを注ぎ、泡が落ち着いてきたら、粗い泡をそぎ落とし、改めてビールを注ぐ。ふわっと泡が盛り上がった二度注ぎのスタイルだ。
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2度注ぎで炭酸の量を調整して飲みやすくしている

久住:あ~、綺麗な泡ですね。夏にかけて、この時期の土日はお客さんがすごいんじゃないですか? 村山:そうですね。多い時で一日に500~600杯はお作りしています。  そう言って、村山さんは滑らかな動きで久住さんの前にグラスをサーブする。 久住:600杯! 永久運動のようにビールを注ぎ続けているわけですね。では早速一口。あ~、美味しいねぇ。温度も、炭酸の抜け具合もちょうどいいですね。
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『オーデン』ではマルエフを6度から8度くらいの温度で提供している

村山:今日みたいな雨の日は蒸しますから、ビールで喉を潤したいですよね。うちはビールによって注ぎ方や温度を変えていて、『マルエフ』はだいたい6度から8度ぐらいのものを二度注ぎでお出ししています。冷やしすぎると、ビールの味が閉じてしまいますから。 久住:昔ながらのビアホールはキンキンに冷やさないところが多いですよね。僕もこれくらいの温度が、味や香りがくっきりして好きです。ちなみに、泡を取るのに使われていたのは何ですか? 村山:ケーキなどにクリームを塗るパレットナイフです。科学的なことは私も詳しくはわからないのですが、ビールの苦みは泡のほうに溜まるといわれているんです。ですから、最初の粗い泡をこれで取り去ると、ビールの苦みが抑えられて、甘みが立ってくるんです。 久住:なるほど、だから柔らかい味に感じるのかな。奥にあるジョッキのコレクションも面白いですね。(世界のビールやそれに合わせたジョッキが並ぶバックバーを見ながら)。 村山:うちでは常時70種類ぐらいの世界のビールをご用意していて、ベルギーのビールにはそれぞれ専用グラスがあるんです。樽生は9種繋いでいて、「全部、制覇したい」と言ってくださるお客様もいらっしゃいます。常に商品を入れ替えていますので、達成するのはなかなか難しいのですが(笑)。
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「熊本弁は、あったかくて、スパッとしてるんだけど、優しい感じもするし、頼もしい感じもします」と久住さん

久住:そんなたくさんの種類を置いてるんですね。よく出るのは、やはり『マルエフ』ですか? 村山:はい。うちの創業は『マルエフ』の発売前ですが、出た後は早々に切り替えて、それからずっと『マルエフ』を置いています。クセがなくまろやかな味わいなので、1杯目に『マルエフ』を飲まれて、2杯目に世界のビールを飲んで、締めにまた『マルエフ』に戻るという方が多いですね。

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阿蘇の大自然が育んだ豚を『マルエフ』で味わう

久住:(グラスを傾けながら)このカウンター、落ち着きますね。木の梁もカッコいいです。どういった経緯でこのビアレストランを開かれたのですか? 村山:ここは父が始めたお店なんですが、単純にビールが好きだったから、好きこそものの上手なれという感じで。あとは連想ゲームで、「ビールと言えばドイツ。ドイツといえば、ハム・ソーセージ」といった感じでドイツ料理を置くようになりました。 久住:「これからビールが売れる時代が来るから、時代を先取りしよう」とかじゃなく「ビールが好きだから」っていうのが素直でいいですね。 村山:実は父がお店に立っていたころ、『灘コロンビア』(日本一と言われるビアホールの名店)の新井(徳司)さんがお店に来てくださって、「このビールの注ぎ方だと炭酸が強くて2杯飲めない。よかったらウチに飲みにおいで」とおっしゃったそうなんです。そこで父が東京のお店に出掛けて、注ぎ方を教えていただいて。 久住:おぉ、そうでしたか。ボクも二十代の頃、『灘コロ』に初めて行って、生ビールの美味しさに感動しました。何が違うんだろう?って。 村山:炭酸量を調整して飲みやすくしてあるし、泡はふっくら盛り上がっていて本当に美味しかったと。そこから今の二度注ぎになったんです。新井さんが使ってらしたような古いサーバーが手に入らなくて、ウチはディスペンサーですから、全く同じ味というわけにはいきませんけど、おかげさまでご好評をいただいております。  思い出話を伺っているうちに、『オーデン』で一番人気の「生ソーセージ」(税込850円)が運ばれてきた。広大な草原で育った「阿蘇自然豚」は、抗生物質を一切使わず、天然のミネラル分豊富な阿蘇の湧き水で肥育されている。そのため肉質がよく、あらびきにしても柔らかい。そんな上質な豚を燻製にせず、ドイツから取り寄せたスパイスと塩コショウを合わせて生の状態から焼き上げるのだ。そのため、一口齧れば肉汁が口中に迸る。
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生の状態から焼き上げたソーセージは、たっぷりの自家製ザワークラウトとマイユのマスタードで味わう

久住:これは、ウマい!(『マルエフ』をぐいっと飲みながら)うん、間違いない組み合わせ。付け合わせのザワークラウトもうれしい。僕はキャベツが大好きなんですが、ザワークラウトの酸味でまたビールが進む。これも、お店で作っていらっしゃるんですか? 村山:はい。ハムとソーセージの付け合わせにするので、1週間で80キロぐらい仕込みます。乳酸発酵させて、お出しする前にさっと水洗いして雑味を取り除き、少し温めてお出ししています。好きな人はずーっとこればかりバクバク食べてますよ。  次のメニューは、「自家製ハムのカツレツ」(税込880円)。こちらは熊本産黒豚の肩ロースを使用したハムカツで、驚くほど厚みがある。
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迫力ある厚みのハムカツ。断面も鮮やかで食欲をそそる

久住:これは見たことがない厚さ! 本当にハムカツですか? トンカツぐらいの厚みがありますよ。断面がちょっと赤くてレアっぽいのも珍しい。(一口食べて)あ、ハムだ。最初、肉なんだけど、一拍おいてちゃんとハムの味がやってきますね。 村山:これもウチでお作りしているのですが、自分が食べたいハムカツを考えていたらこうなりました(笑)。『マルエフ』と揚げ物の組み合わせは間違いないですよね。 久住:今まで「ハムカツは薄いほうがいい」と思っていたんですが、このハムカツは厚いからうまい。あえなく信念が覆りました。味が濃くて、噛み応えもある。これがハムカツの基準になっちゃうと困りますね。以前とある場所で食べたハムカツは粉みたいだったなぁ。まあ、薄過ぎて駄菓子みたいなハムカツも好きなんですけどね(笑)。
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「ハムカツは薄いほうがいいという概念が覆された」と語る久住さん

村山:ハムカツって、お店によって全然違いますよね。個人的に、ハムカツは無限大だと思っています。 久住:(添えられた和ガラシをちょんとつけて)さっきのソーセージはマスタードでしたが、ハムカツには和ガラシが合いますね。ビールが止まらなくなる。

料理との相性もバツグン!
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美味しいハーフ&ハーフは6対4の割合で

 次にハーフ&ハーフを出していただいた。『オーデン』では、ハーフ&ハーフを作る際、まず『マルエフ』をグラスに注ぎ、その後に比重の重い『黒生』(こちらも樽生)を注ぐ。すると、グラスの中で対流が起こり、自然に両者が交じり合うのだ。
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黒生のコクとマルエフのキレのバランスが絶妙なハーフ&ハーフ

久住:ハーフ&ハーフも美味しい。『黒生』らしいコクがありつつ、『マルエフ』らしいキレもある。 村山:『黒生』らしさを残しつつ、すっきりした後口になるよう、うちのハーフ&ハーフは、『マルエフ』6、『黒生』4の割合でお作りしています。ちなみに煮込みにも『黒生』を使っているんですよ。
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黒生で煮込んでいるという和牛のビール煮込みは、肉のうまみが溶け出したソースも濃厚な味わい

 そこで登場したのが、じっくり煮込んだ「和牛のビール煮込み」(税込1680円)。使用しているのは、九州産の黒毛和牛のネックだ。運動量の多い部位のため、肉質がきめ細やかでゼラチン質も多い。 村山:このソース、『黒生』のコクがいい仕事をしてくれるんですよね。その上、肉の旨味も溶けだしていますから。 久住:肉自体も箸で切れるくらい柔らかい。『黒生』で牛肉を煮込んでしまうなんて、贅沢だなあ。ところでこのグラスに書いてある文字は何という意味なんですか? 村山:ドイツのローテンブルグって古い街にあるシュピタール門に刻まれた一「Pax intrantibus, salus exeuntibus.」で、「訪れる者に安らぎを、去りゆく者に幸せを」という意味なんです。 久住:確かに、ここに来てこうやってビールを飲んでいれば、安らいで幸せな気持ちになれますね(笑)
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暑い夏を乗り切るには美味しいビールが欠かせない!

 連日30度を超える真夏日が続くが、仕事終わりにはぜひ『マルエフ』と『黒生』で喉を潤して、厳しい夏を乗り切っていきたいものだ。

黒生も気になった方は
こちらでチェック!

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logo01 ※記事内で表記している料理の価格は、取材時の金額となります (取材・文/山脇麻生 撮影/加藤 岳) <提供/アサヒビール>
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