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誰もがボケない時代がくる? “認知症”治療の最前線「発症する年齢をズラせる」

―[120歳まで生きる]―
「人生100年時代」が叫ばれるようになったのも束の間、研究者の間では、「人間が120歳まで生きる」というのはわりと現実的だと考えられているという。世界中で活発化する「老化研究」の最前線とは——。
高齢者

※写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)

 加齢に伴う疾患としてまず浮かぶのが認知症だ。’25年には65歳以上の認知症患者が700万人を超えるという予測もある。これほど多くの人が悩む病気なのに、有効な薬が生まれてこなかった。 「大きな原因は、アルツハイマー病は研究者の予想以上に長い時間をかけて進行していく病気だったことです。患者さんの多くは70代以上ですが、実際には10~20年前からアルツハイマー病はゆっくりと進行している。症状が目に見えてわかる段階まで進行してから気づくのでは遅かったのです」  そう話すのは、東京大学教授の富田泰輔氏だ。

実は40代から始まる!? 原因解明で治療法も進化中

120歳まで生きる

東京大学薬学部教授 富田泰輔氏

 富田氏は40代の若さで教授になるなど、今、認知症研究者のなかでも注目される人物である。 「また、同じ認知症でも『レビー小体型』や『血管型』『前頭側頭型』などがあり、それぞれ原因が違います。そういった個別の違いも原因特定を困難にしていました。しかし、近年は技術革新が進み、ようやく原因に合わせた正しい治療ができるようになってきたのです

認知症治療は新しい局面へ

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今年発売されたアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβを標的にした抗体医薬「アデュヘルム」。提供/バイオジェン

 そして今年、認知症治療は新しい局面を迎えている。アメリカにてエーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ(商品名:アデュヘルム)」が販売されたのだ。 「認知症のなかで患者数が一番多いアルツハイマー病の発症原因は、『アミロイドβ』と『タウ』というタンパク物質が、脳内に埃のようにたまることです。それによって認知機能に異常をきたします。『アデュヘルム』はアミロイドβに対する抗体医薬で、投与すると認知機能の低下を緩やかにする効果が見られました。アメリカでは今後、8年ほどかけて薬効を確かめる必要がありますが、これまで有効薬がなかったなかで画期的な存在になり得ると期待しています」
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アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ」と「タウ」を掃除する免疫機能は年齢とともに低下する

 さらに違う治療法の研究も日本で進められ、今年4月には富田氏が所属する東大の研究チームが「光認知症療法」を発表した。 「これは脳内に蓄積したアミロイドβに対して、光触媒を使って除去する方法です。今は動物実験の段階ですが、数年以内の治験開始を目標にしています。ほかにも京都大学では認知症の超音波療法を研究したり、東北大学では認知症予防ワクチンの研究が進んでいます。薬やワクチンなどいろいろなアプローチがありますが、共通しているのはアミロイドβとタウという脳内にたまるタンパク物質をターゲットにしていることです」
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光認知症療法の実験をするマウス。近赤外線を照射することで光触媒が「アミロイドβ」の除去に作用

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アルツハイマー病のリスクが高い遺伝子
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