動物の命よりカネ。「絶対に行ってはいけない動物病院」を獣医師が暴露
自分が飼っている犬や猫が体調を崩したとき、犬猫は話すことができないため、すべて飼い主が判断して病院を決めなくてはならない。基本的に家から近い動物病院に行くケースが多いだろうが、果たしてその病院、本当に自分の犬や猫を想って診察してくれているだろうか。
「動物病院の獣医師がヤブ医者だとしても、なかなか飼い主さんが気づくことは難しいかもしれません」
そう話すのは、都内の動物病院で院長を務める獣医師のS氏。ペットの体調を回復させるためではなく、カネを稼ぐためだけに働いている心ない獣医師も多いという。そこで今回はS氏に「絶対に行ってはいけない動物病院の特徴」を聞いた。
もともとは動物が好きで獣医師を目指す人が多いわけだが、自身で動物病院を開業し、経営者としての意識が強くなっていくほど、高単価の治療をしたがるという。そのような思考になると、本来は不要な手術を積極的に行う悪質な獣医師もいるようだ。
「たとえばトイプードルで多いんですけど、ヒザのお皿が外れる『膝蓋骨脱臼』という病気があります。これってほとんどの場合、手術の必要がないんですよ。でも、とある病院に行くと、この症状とわかった時点でほぼ手術を勧められます。手術せずに内科管理でいけば、治療費は年間で3万円程度ですが、手術をすると25万〜30万円もかかるので、病院側はかなり儲かるわけです。しかもその後はサプリの処方が続くので、とんでもないお金がかかりますよね」
もちろん飼い主側の金額負担だけでなく、手術を行うことで犬猫にも負担がかかってしまう。
「金銭的に余裕のある飼い主さんなら、たとえ手術をしても元気になればいいと思うかもしれませんが……。犬猫のことを想うなら、本当は不要な手術で身体にメスが入るのは避けてあげないといけません。でも本当に初診の時点で手術が必要な場合もあるので、手術を勧められたからダメな病院というわけではなく、ちゃんと検査結果をもらって、納得のいく説明をしてくれたうえで手術をするなら問題ないと思います。ウチの病院にも『あの病院で手術が必要と言われたんですけど、本当に手術が必要かどうか診てください』という患者さんがくることがありますが、結果的に手術をせずに回復したケースもザラにあるので、犬や猫にもセカンドオピニオンを考えてみてほしいです」
また、高額な治療だけでなく、薬の処方も、動物病院の大事な収入源になる。治療をしていくうえで必要な薬だけを提供してほしいものだが、なかには驚くべきことに「薬の名前も明かさない獣医師もいる」という。
「人間だったら絶対にありえないんですけど、たとえば『肝臓の薬を出しますね』というように、なんの薬かは口頭で伝えたけど、袋には何も書いていない、明細書にも書いていない、ということがあります。こういう病院は絶対にやめたほうがいいです。なぜこういうことをするかというと、獣医師側のリスクになることがあるからだと思います。仮に自分の出した処方でミスをしてしまい、訴訟になったときに『この病気でこの薬を出したのはおかしい』と指摘されたら裁判に負けてしまうから、どんな薬を出したかをあやふやにするわけです」
薬の名前も明かさずに、適当に処方をする獣医師が多いことは大問題であるが、S氏は「獣医師側の立場で言うと、少し仕方ない部分もあります」と続けた。
「人間のお医者さんの場合、眼科の先生だったら目だけを診ていればいいし、歯医者さんは歯だけ診ていればいいけど、僕たちは動物の全部を診ないといけません。そうなると、どうしても得意不得意が出てくるので、得意でない治療の場合は検査結果をあやふやにしたくなるんでしょうね。ただ、そんなことをしている動物病院には行かないほうがいいのは間違いありません。自分が不得意な症状の場合、『ウチでは治せないので他の病院に行っていただけますか』と言えるかどうかが、いい病院とそうでない病院の違いかと思います」
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
いきなり手術を勧めてくるのは完全にカネ目当て
薬の名前を一切教えてくれない
Twitter salesmorita32