誤診、パワハラ、気にいらない患者を拒否…。関係者が告発する「黒い医療現場」の実態
国民皆保険によって世界有数の長寿国になるなど、日本の医療は世界からも高い評価を受けてきたのは事実だ。しかし、現在はどうだろうか。少子高齢化による医療費の増大や、慢性的な医師不足、それに伴う医療現場の”ブラック職場化”など、様々な問題も生まれている。
患者目線ではなかなか気づけないが、実際の医療現場では「そんな無茶がまかり通っていいのか」と言いたくなるような実態もあるという。現場の医療関係者たちの、やるせない声を集めた。
現在の少子化とともに“待ったなし”と言われている医師不足問題。なかでも顕著なのが地域による医師の偏りだ。医師の数が最も少ないとされる埼玉県では人口10万人に対しておよそ177人。最も多い徳島県の330人と比べれば、およそ2倍の開きがある。
関西圏のある総合病院で働く現役医師は、医療格差による弊害をこう嘆く。
「医師が足りないエリアでは医療の質は下がる一方で、誤診は日常茶飯事です。私の勤務先は『地域医療』を謡い100近くの病床を抱える総合病院ですが、そこでも誤診はよく起きています。例えば、先輩の医師が問診に来た患者さんを精密検査もせずにガンと診断しステロイドを投与したのですが、よくよく調べてみると実は結核だったのです。耳にした時は血の気が引きました」
誤診の影響は本人だけにとどまらず、周囲にも影響を及ぼす。
「その患者さんは数日間、検査入院をしていたので、病院内に結核菌をまき散らしていたことになります。幸い、すぐに病院側も処置に回り大事には至りませんでしたが、先輩医師には呆れてものも言えなかったです。もちろん他の患者さんたちはそんなことがあったなどまったく知りません」