長期入院と短期入院、どっちを薦める病院が信頼できる?医療ジャーナリストが教える「いい病院」の見極め方
頼るべき病院をどう選んだらいいのか。それは我々患者側の最大の問題だ。
自宅近くに信頼できる病院があればいいが、そもそもHPなどに出ている情報は少ないし、病院との関係など健康なときには考えもしないので、関心のなさから土地勘がないという人も少なくない。特にがんを筆頭とした命に関わる病気の場合、慎重に病院を選ばなくてはいけない。
いざというときに備えて、「いい病院」「悪い病院」の見分け方を知っておくのは必須知識と言っていいだろう。
そこで今回は、これまで医療経済ジャーナリストの室井一辰氏による「病院選びのコツ」をお伝えする。病院はそれぞれ個性があるので、一概にこれだから良いとは言い切れないが、この記事では病院の選び方の巧拙について3つのポイントに注目。参考にしてほしい。(以下は室井氏による寄稿です)
病院の経営状態が話に上るようになって久しい。日本の病院の半分は赤字といわれるが、それ自体は人の命を救うために、非営利で向き合っている医療関係者が奮闘しているからであり、やむを得ないところがあると思う。
本来、医療はカネにならない事業だ。命が危険にさらされている人を前に、「お金がないから対処できない」というふうにはなかなかならない。
そうした中でもあえて「なかなか退院させない病院」という点を挙げたのは、これが病院のいわば“持病”のように扱われてきたからだ。ダメな病院は、無駄に退院を長引かせやすいのである。
あまり知られていないと思うが、日本の病院の入院費は入院日数で決まる部分が大きい。1日入院するたびに課金される仕組みであるためだ。退院を長引かせるほど、収入が増える。徐々に伸び幅は減るのだが、一定までは当てはまる。
結果として、病院の経営についての考え方次第で、同じ病気でも病院によって入院する日数が異なるのが普通だ。病気で入院する人にとっては、医療費は国から補填されるので、「長く入院すると安心だ」と考えがちかもしれない。そうした面は否定しないが、長く病院にいてくれる患者は、病院にとっては“カモ”にほかならない。
問題なのは、長く入院したからといって、病気が治りやすいわけではないということだ。海外の研究では病気であっても、早めに入院から切り上げて日常生活を送ったほうが病気の回復が早いという報告が多く存在している。むしろ、長く入院することによる、認知機能低下のリスクが問題視されるくらいだ。
そうしたリスクがあるにもかかわらず、入院日数を稼ぐ病院があるのはなぜか。一部には、患者のリスクに目をつむってでも、利益を上げる必要性があるからだろう。病院の経営状態が悪いほどに、そうした考えに寄りがちになると考える。