同意なしの「性交」と「わいせつ」、何をすると有罪になるのか?弁護士が教える「間違えない男女交渉」Vol.2
昨年7月の刑法改正では不同意性交等罪とともに不同意わいせつ罪も新設された。これらの違いは何なのか。また量刑の差はどうか。有名弁護士が解説する。
5月24日、宮崎地裁は不同意性交等致傷の罪に問われていた元宮崎市議の「スーパークレイジー君」こと西本誠氏に、懲役4年6か月を言い渡しました。
私にとっても人ごとではない裁判でした。というのも、西本氏の弁護人を務めていたのはこの私だからです。
「昨年9月3日、宮崎市内のホテルに連れ込んだ知人女性を押し倒し、馬乗りになるなどした上、性的暴行をしようとし、左手に約3週間のケガをさせた」
これが本件の起訴内容でした。ここに「しようとし」とあるとおり、性的暴行を既遂した事実はありませんでした。しかし、性交自体の既遂・未遂を問わず、相手にケガをさせてしまった場合、不同意性交等致傷罪が成立します。
ただ西本氏は、報道のとおりホテルに入る際に暴行はしておらず、部屋の滞在は20分程度で、肉体関係(性行為)はなかったと主張しています。ケガについては、ホテルを出た後に女性が転倒したのではと説明しました。一方でホテルに入るときに手を強く引いたことは認めており、裁判所はケガの一部は手を引いた時のものではと認定しました。
懲役7年という検察側の求刑からは減軽され「懲役6年~20年または無期懲役」という不同意性交等致傷罪の罰則の下限も下回っていますが、これは示談金を用意していることなどから、酌量減軽された結果です。
例えば、ナンパした女性とホテルへ向かう途中、酔った女性の手を引いて先導していたときに女性側がケガをすれば、最悪、不同意性交等致傷罪になる場合があります。こうした事態にならないよう、たとえ合意があったように見えたとしても、軽率な行動は慎むべきです。
さて、一方で不同意性交には至らぬまでも、不同意わいせつで有罪判決が出たケースも見てみましょう。
慶應義塾大学法学部・同法科大学院を卒業後、加藤・浅川法律事務所代表弁護士。投資被害の救済を専門として数々の詐欺事件の集団訴訟(原告側)を担当。最近ではサッカー選手・伊東純也氏の性加害疑惑で伊東氏側の弁護を担当
不同意「性交」と「わいせつ」の違い
慶應義塾大学法学部・同法科大学院を卒業後、加藤・浅川法律事務所代表弁護士。投資被害の救済を専門として数々の詐欺事件の集団訴訟(原告側)を担当。最近ではサッカー選手・伊東純也氏の性加害疑惑で伊東氏側の弁護を担当
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