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天龍源一郎からの一喝、極悪レフェリーの素顔……『極悪女王』秘話

「主催者たちもどちらが勝つか賭けていた、“世界で唯一、賭けが成立するプロレス”」――。血しぶきの量だけ客が湧き、憎悪がほとばしった80年代の全日本女子プロレス。その狂乱の実態を生々しく描いたNetflixドラマ『極悪女王』が9月19日に配信される。今回は主演を務めたゆりやんレトリィバァ、演技指導を務めた元クラッシュギャルズ長与千種が特別対談を実施(4回目/全4回)。この試合(対談)を仕切るのは、プロインタビュアーの吉田豪が迫る。 現代のコンプライアンスでは「ありえない」全日本女子プロレス。一方で、その勢いはあの大御所プロレスラー・天龍源一郎にとっても”厄介”な存在だったようで……。 【1本目】⇒「最狂になるしかなかった……」ゆりやんレトリィバァ×長与千種、吉田豪に語った伝説の女子プロ団体の裏側とは!? 【2本目】⇒ゆりやんレトリィバァ×長与千種「ダンプも私も落ちこぼれだったから……」『極悪女王』からみた、全女のリアル 【3本目】⇒「ゆりやん負傷報道」の真相。『極悪女王』女優たちの熱狂

大御所・天龍源一郎に言われた一言

長与:でも短い栄華だったけど、あの勢いを抜く団体ってもう生まれるのかなとも思う。だって天龍源一郎さんに「千種、おまえらに腹が立ってたんだよ。おまえらがダンプと一緒に試合やり始めたら俺んとこに客が来なくて。近くで興行やってるってだけでもムカついたよ、全部おまえらに客持っていかれたよ!(笑)」って言われたとき、「うわーっ、すみませ~ん」って言いながら、勝っちゃったの!?(笑) って思いました。 だから、ただ単にゆりやんのダンプ松本を観るんじゃなくて、登場人物それぞれの人生の葛藤もすごい描写されてるから、それも観てほしい。たぶん強くなりたかっただけなんだよ、強くなりたかった女の子たちが変化していく物語でもある。 ――村上淳さんがふつうに松永ファミリーに見えてきましたもんね、全然似てないのに。 長与:俊国さんも国松さんも……みんな特徴をつかんでるじゃないですか。そのうち肺がんになるよっていうぐらいタバコずっとふかしてて、俊国さんはずっとお金のところしか……まあ彼がいなかったら回っていかなかったんですけど。 ゆりやん:今回、資料だけじゃなくてホントに監督とかスタッフさんみんな取材に行かれてるんですよね。ここまで再現するのにどういう取材が行なわれたんだろうっていうぐらいの作り込み。 ――顔が似てない人がちゃんとその人になる。阿部四郎さんは阿部四郎さんだったし。
1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。主な著書に『男気万字固め』(幻冬舎)、『人間コク宝』シリーズ(コアマガジン)、『サブカル・スーパースター鬱伝』(徳間書店)、『書評の星座』(ホーム社)など