人生100年時代の折り返し地点で、人は多くの問題に直面する。親の介護や病気、夫婦仲の冷え込み、子供の問題……。クリアが困難な“無理ゲー”の数々をどう解決すればいいか? 令和の家族メンテナンス法を探った。
変わる令和の家族問題
作家の古谷経衡氏(右)と、ジャーナリストの岩田明子(左)
家族を巡る問題は、時に大きな悲劇を生む。最も身近な存在ゆえ、完全に断ち切ることが難しく、解決策を見いだしにくいからだ。
今回、教育虐待を受けて「毒親との絶縁」を’19年に宣言した作家の古谷経衡氏と、独身を貫き、仕事と80代母親の介護に追われる毎日を送るジャーナリストの岩田明子氏が、令和の家族像について語った。
完璧主義の母はヘルパーを受け入れられず…
古谷:僕は毒親と絶縁したのですが、岩田さんは一人でお母様の介護を続けているようですね。それはやっぱり愛ゆえにですか?
岩田:私の母は銀行員から専業主婦になった完璧主義の女性で、昔は自宅でも着物を着て掃除をして、料理を作るなど、全力で家事をこなしていたんです。一方、現在、地方の施設で暮らす父親は、毒親ほどではないけど教育に熱心な人で、私が風邪をひいて学校を休もうとしたら、「気合で克服しろ」と言うタイプ。そんなとき、母は父親の目を盗んで私を病院に連れてってくれた。その受けた恩と愛情を返したくて、介護を続けている感じでしょうかね。
古谷:しかし、岩田さんは独身ですよね。お一人で介護を続けるのは大変なのでは?
岩田:完璧主義の母は、人に自分のミスや粗相を見られるのが許せない。介護が始まったのは3年ほど前ですが、そのせいでヘルパーさんを入れられず、本当に一人で介護を続けてきました。昨年後半は特に認知症が悪化して、たびたび「もう死にたい!」と叫び、私はその脇で母の粗相を時間かけて掃除する……みたいな生活が続いていました。そのせいで、私が持病の治療で病院に行ったときに、看護師さんから「お母様の介護もあるのに大丈夫ですか?」と声をかけられただけで、ボロボロと涙が溢れてしまって……。自分もかなり限界にきているとそのときに気づいた。
古谷:……。
岩田:でも、実は1月に母の意識が混濁して緊急入院することになって、現在も病院で療養中なんです。当初は看護師さんたちに粗相の始末をしてもらうことを非常に嫌がっていたのですが、だいぶ慣れたようで、このまま施設への入居が進む予定です。毎週、私は病院に通っていますが、かなり介護負担は減りました。
今の世の中、離婚経験も独身を貫くのも“普通”