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50代で子を授かったパパたちの決断。急増する「高齢パパ」の喜びと不安とは

高齢&晩婚化で50歳を過ぎて子宝を授かる男性が増えている。体は衰え、稼げる時間は限られ、親の介護リスクに頭を悩ませる……。そんな高齢パパの奮闘と葛藤を追った。

52歳にして子宝に恵まれる

急増![高齢パパ]の現実

8年間の不妊治療を経て昨年出産。前妻との間にも息子がいる伊達の仕事は歩合給の比率が高いため、70歳まで働き続けるとか

【高齢パパの家族構成】 伊達さん(52歳):外資系企業勤務 妻(50歳):育休中 長男(0歳) 「妻が採取していた最後の1つの卵子で授かりました」 こう話すのは、昨年、52歳にして子宝に恵まれた伊達陽太さん(仮名・外資系金融)。前妻との間に15歳の息子がいるが、再婚相手である現在の奥さんは50歳での初産だった。 「お互い再婚でしたが、妻には子どもがいなかった。でも、ずっと母親になりたかったようで、夢を叶えてあげたいと思い不妊治療を始めたんです」 8年で6つの不妊治療専門医にかかり、費やしたお金は2000万円。終わりの見えない治療で奥さんの心と体には大きな負担がかかった。諦め半分で挑戦した最後の一回が結実したため、伊達さんは当初、半信半疑だったという。 「先生に何度も『ウソじゃないですよね?』と確認するほど信じられなくて。妻のお腹から赤ちゃんの鼓動が聞こえるようになって、初めてパパになる実感が湧いてきました」

’00年以降、日本の高齢パパは増加中

実は’00年以降、高齢パパが増えている。厚生労働省によれば、40代以上で父親になる男性はここ20年で1.5倍に。50代で子どもができた男性は全国で約8700人にも及ぶ。 ただし、子どもの成人前に現役を退く人生のリスクは大きい。若いパパより体力に劣り、稼げる時間が限られるからだ。が、熟練のイクメンぶりを発揮するパパも少なくない。

育児は大変だけど負担は大きくない

急増![高齢パパ]の現実

奥さんはリモートワークで日中は家にいるが、料理・洗濯・子どものお風呂入れなどを鬼頭さんが担当

【高齢パパの家族構成】 鬼頭さん(50歳):カメラマン 妻(38歳):ITコンサルタント 長女(10歳):小学校5年生 次女(6歳):幼稚園 三女(0歳) 「夫婦共働きですが、食事、洗濯、お風呂入れ、送り迎えは僕の担当。酵母を育てながら毎日パンも焼いてます。若い頃と異なり、時間を調整しながら家事と仕事を両立できるようになったので、育児は大変だけど負担は大きくない。年のせいで睡眠時間が短くなって、子どもが夜泣きする前に目が覚めるし(笑)」 こう話すのは今年三女を授かった50歳の鬼頭和幸さん(仮名・カメラマン)だ。 「結婚時に、義理の祖父から『夫婦で2人の子をつくってもプラマイゼロ。3人はつくって幸せな家庭を築きなさい』と言われたんです。その祖父がコロナ禍に亡くなり、二人で話を思い出した。それで、もう1人頑張ろうと」

高齢パパが抱える悩みとは?