ニュース

「死ねと言うのか」企業撤退に抗った前和歌山県知事の証言。模索した再生への道

 かつては企業誘致で栄えた地方都市が急速な荒廃に直面している。不況によって、地元を支えてきた大手企業の工場閉鎖・縮小が相次いだためだ。活気を失い、まるで“ゴーストタウン”と化した現在の街に迫った。

「死ねと言うのか」企業撤退に抗った元知事の証言

[企業が捨てた街]の悲惨なその後

前和歌山県知事・仁坂吉伸氏

 自治体の経済を支えてきた企業がいなくなる──。そんな事態に立ち向かった首長がいる。  ’22年1月、ENEOSホールディングスが、’23年10月をめどに和歌山県有田市にある製油所を閉鎖する決定を発表した。  この製油所は県全体の製造品出荷額の約2割、有田市に至っては9割を占めている基幹事業だった。  発表を受けて「地域に死ねと言うのと同じではないか」と記者会見で怒りをあらわにしたのは、仁坂吉伸和歌山県知事(当時)。会見前日には、都内にあるENEOS本社で同社の大田社長との会談を行った。