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水増し・便乗値上げが横行?家計を業界別「価格転嫁」の裏側を解説

物価高によって家計支出が増加する一方、所得は伸び悩み、国民は苦しんでいる。だが、果たして原因はそれだけなのか?暮らしのそこかしこに潜む「生活苦の正体」に迫った。

「上げ底」商品に我慢するしかない?

一億総生活苦の正体

菓子や弁当など、パッケージされた食品の多くが内容量を減らし、それを隠すため〝上げ底容器〞が重宝される

大手コンビニチェーンで売られている「幕の内弁当」の平均価格は、今年6月時点で497円。値上げラッシュが止まらないなか、企業の涙ぐましい努力によってワンコイン以下に抑えられているのが実情だ。 にもかかわらず、世間の風当たりは強い。最近では、大手コンビニのセブン・イレブンが提供する弁当を巡り、SNS上で「パッケージ詐欺」といった批判が噴出。実際に重箱の隅をつつくように「上げ底」を検証する者が現れるなど大論争に発展している。 企業倫理が求められる時代、消費者を欺くような行為は許されない!と糾弾されがちだが、容器製造メーカーで働く小倉誠司さん(仮名・51歳)はこう裏事情を吐露する。 「コロナ禍で食品の安全性が重視され、容器の売り上げも2~3割増え安泰でしたが、今は物価高でスーパーの倒産が増え、コストを価格に転嫁できない空気になっている……。今、受注が見込めるのは、より巧妙に作られるようになった上げ底容器くらいです」 消費者目線では当面、「上げ底」商品に我慢するしかないようだ。 一億総生活苦の正体

経費削減、便乗値上げで生き残りを図る!?

地方銀行の総務部門に勤める住本美香さん(仮名・39歳)は、「金利ある時代」に突入し、好況に沸く銀行業界にあっても経営が苦しいと嘆く。 「金利上昇で融資が増えて好調と思われがちですが、預金の高利率を売りにするネット銀行による顧客争奪戦が熾烈で、ウチのように経営が小規模な地銀では勝負にならない。現実には、地銀は勝ち組・負け組に二極化してるんです」 そんな地銀が試みるなりふり構わない試みが、我々の生活苦を助長することもある。 「ウチは店舗外のATMを全廃したし、以前は外注していたキャッシュカードの郵送も、今は総務のおばちゃんがやってます(笑)。ただ、経費を削減しても収益は上がらない。そんな折、昨年メガバンクが一斉に手数料を大幅に上げたので、便乗値上げと文句を言われそうですが、ウチも値上げしやすくなりました」

素人同然の修繕業者を安く使っている大家も…