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「漫才研修」って何!? 新入社員にいきなり漫才をさせる、ある上場企業の狙いとは

「人手不足で採用基準は年々緩くなっている。今までなら入社してこなかった人材が大量に入ってくるようになりました」こう嘆くのは大手企業の教育担当者。’25年3月卒業の大学生の就職内定率は92.6%。超売り手市場のなか、今年も大量の新社会人が誕生する。若手社員のトンデモ言動に困惑する声が聞かれるようになって久しいが、若手育成の難度は上がるばかりで、今やお手上げ状態の企業も珍しくない。コミュニケーションの齟齬は本当に世代の違いなのか、採用した企業が悪いのか。組織や周囲に“害”を及ぼしてしまう新社“害”人の実態に迫った! 若害の定義 ①「お客さま」体質で業務遂行 ②無責任な迷惑行為を多発 ③仕事の価値は自分が基準

お笑い好きの会長の発案で15年以上継続

[若害]の激ヤバ実態

新入社員だけでなく、中途採用社員も参加する漫才研修

若手人材を「会社の成長のエンジン」と高く評価するのが、中古自動車やバイク用品店を運営するアップガレージグループだ。社員の平均年齢は32歳。’21年12月の再上場以来、毎年、最高の売上高・利益を更新している同社の代表取締役社長・河野映彦氏は次のように語る。 「次世代経営者研修を設け、若手幹部を育成しています。執行役員には30代が多く、20代にも部長クラスがいる。若手登用はベテラン社員にもいい刺激になっています」 若手と中高年が密に関わる同社が行う異色の取り組みが「漫才研修」だ。 「お笑い好きの会長の発案で、15年以上続けています。研修は座学と実演の2本立て。新人社員は大手芸能事務所のプロの放送作家から笑いの仕組みなどを座学で学び、即席のコンビで作ったネタを、会長や社員の前で披露します」 ユニークすぎる研修には、実はこんな狙いがある。 「未知の分野でも、論理を学んで実践すれば形になることを知る成功体験になる。たとえスベっても、演じ切る度胸や経験が成長の糧になり、お客さまとの対話力にも繫がります。社内でも『まだフリが弱いな~』などお笑いが共通言語になる効果もあります」

今の若者には殻を破る経験が必要