「勃起しちゃいました……」と歌っているのに、なぜ、こんなに切ないのか。大阪を拠点にするスリーピースバンドはSNSで爆発的に火が点いた。その人気は国内を超えて、卑猥な表現に厳しいはずの中国にまで伸びている。アダルトだけど、泣ける歌を作る彼らの秘密に迫った。 　澄みきった青空の下、やわらかな太陽の光に照らされる若いカップル──。初夏の爽やかさえ感じさせるMVに、浮かび上がる楽曲タイトルは『あなたのチンコは何センチ？』……。 　バンド名は『Adult family』。単なる18禁なバンドではない。楽曲の軽快さや言葉遊びの裏にある“無垢さ”や“切なさ”も、大きな話題を集め、前述の楽曲は音楽ストリーミングサービスSpotifyの急上昇ランキングで2位を記録し、YouTubeでは130万回再生を突破。そんな大ブレイクの兆しを見せているバンドが持つ下心に迫った。 ──学生時代から、現在の楽曲を演奏していたそうですね。 ひらさか一人っ子（以下、ひらさか）：僕とベースのsosakuは中高の同級生で、高校卒業後に一度地元でAdult familyはやっていたんです。当時から『ありがとう金玉』などライブの鉄板曲はやっていました。 sosaku：ただ、地元和歌山はライブハウスも少なく、1年間ほどやって活動休止に。 わたる：僕はひらさかさんと大学の同級生で、別のバンドをやっていて。ただ、Adult familyは本当に輝いてた。バンド解散して全員がフリーになったときに、「もう一度アレ、やりませんか？」と提案しました。 ──バンド名の由来は？