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「気づくと涙が頰を伝っている」実の両親と義母の介護を一人で担う48歳女性。経済的にも精神的にも限界寸前

’25年に後期高齢者数は過去最多を更新する見込み。要介護者が急増し、費用の高騰と人手不足を機に、介護による貧困化が加速し始めた。ただでさえ困窮する氷河期世代の生活が一気にどん底に転落するリスクが高まっている――。介護に翻弄された末に行き着く先とは? 超高齢化社会の日本が直面する大問題に迫った。

貧困家庭を圧迫する介護費用の上昇

[貧困介護]の現実

同居をせず二拠点生活を送る理由について問うと、樫木恵美さん(仮名・48歳)は「父も母も直接口には出さないけど住み慣れた地を離れたくないと思うんです」と答えた

世帯年収300万円未満の45歳以上、64歳以下の介護者248人へのアンケート(Q1)を見ると、氷河期世代の介護支援を行っている「よしてよせての会」代表・奥村シンゴ氏が説く、介護費用の上昇は確実に貧困家庭を圧迫することがわかる。 [貧困介護]の現実ただ家計が黒字に見えても、常に貧困への転落の危険を孕むのが介護問題だ。実の両親、そして施設に預けた義理の母と3人の介護を一人で担う樫木恵美さん(仮名・48歳)は、実家まで90分の道のりを2日に1回往復する生活を送る。 「3人分の書類の確認や処方箋の管理は心がすり減ります。統合失調症と認知症を患った母は妄想が強く、私だけを激しく責めるんです。悪気がないのはわかっていますが気づくと涙が頰を伝っている」 両親の年金は月22万5000円。Q2では、過半数の年金受給額が10万円未満なことから樫木家は余裕があるように思える。 [貧困介護]の現実介護サービスによる現在の出費はデイサービスが週2回で月5000円、訪問介護が週1回で月3000円、ヘルパーが週1回で月5000円と、合計で月1万3000円のみ。Q3と比べても多くを費やしている印象はないが、樫木さんは「綱渡りです」と肩を落とす。 [貧困介護]の現実樫木さんの例が示すように、世帯年収300万円未満の家庭では介護費用が家計を圧迫し、経済的な転落リスクが日に日に高まっていることがわかる。介護が個々人、個々の家庭単位での孤独な戦いへと変わるとき、その先には何が待っているのか。有料記事後半では、一人で介護を続けるリスクと、共依存による負の連鎖がもたらす恐怖について考察する。(残り:1062文字)